危険な暑さが日本列島を襲うなか、東京消防庁によれば、七夕の日となる7日7日に熱中症の疑いで都内の病院に救急搬送されたのは198人と早くも今年最多の人数を記録。しかし、暑さでぐったりするのは人間だけにとどまらない。近年、ペットの熱中症も多発しているという。
「ペット保険商品を展開する『アニコム損保』の調査では、2023年に行なわれた熱中症の診療件数は年間、犬が1424件(前年1210件)、猫が200件(同145件)と前年より大幅に増加しています。ピークは7月と8月で、犬と猫合わせて7月に538件、8月は464件の熱中症が記録されました」(夕刊紙記者)
人間の熱中症が増えるのに比例して、ペットの熱中症も増えている実態があるが、夏のペットとの過ごし方は、具体的にどうしたらいいのか。東京・世田谷区の山田動物病院・山田寛一院長にペットの熱中症対策について話を聞いた。
そもそも毛に覆われている動物は暑さに弱い。特にオオカミを祖先に持つ犬は、寒さには強くても暑さには弱いのだという。山田院長も、熱中症で運び込まれるのは圧倒的に猫よりも犬が多いと話す。
「犬は、口から舌を出して“ハアハア”とやりますよね。あれは“パンティング”と言って、体内の熱を逃がして体温調節をしているんです。人間は体の熱を放出させるために全身で汗をかくことができますが、犬は汗をかける部分が鼻腔などごくわずか。そのため気温が高いと体温を下げきれなくなってしまいます」(山田院長)
また犬や猫は身体が地面に近く、放射熱の影響を受けやすい。「犬は散歩してやらなくちゃ」と思っている人も多いかもしれないが、散歩に行くとしても気温の高い夏場の日中は避けたほうが良さそうだ。
「散歩に行くなら、朝晩の涼しい時間帯です。犬用の飲み水も必ず持参しましょう。その場合でも日陰があるなら日陰へ。土よりもアスファルトのほうが熱くなりやすいので注意が必要です。また、若くて健康な犬と老齢の犬とでも暑さへの耐性は異なるので、犬の年齢にも注意です」(前同)