■よくできているがツラい『海のはじまり』

「見ていて最もツラかったのが、朱音(大竹)と夏(目黒)が対峙したシーンでした。夏に対して非難してはいけないのを分かっていながら、その感情を抑えきれない大竹の演技は圧巻でしたが、それだけにツラさが増します。また、夏も弥生(有村)も、誰も悪くないのに、みんなが苦しんでいる状況が続いていている中、幼い海(泉谷)が癒やしの存在になっていますが、それが逆に“しんどい”と感じている視聴者も多そうです」(ドラマライター/ヤマカワ)

 次回、弥生は夏が父親になるのであれば、自分が母親になることも選択肢に入れてほしいと夏に告げる。彼らが新しい関係を構築していくことで、明るい展開がやってくるのではないかーー?

「“相手を思いやるゆえの苦しみ”というのは、本作と同じく生方美久氏が脚本を手掛けた22年10月期放送『silent』と23年10月期放送『いちばんすきな花』(同局系)でも描かれてきましたが、まだ始まったばかりですし、夏と弥生、朱音たちががそこから抜けるのは、まだ先になりそうです。

 さらに、大竹、古川、有村、池松壮亮(33)と演技派が顔を揃え、前2作よりキャストがパワーアップしたことで、より苦しみの解像度が上がっていることも、“しんどい”を増幅しています。合間に海の登場シーンで癒やし要素を作るでしょうが、見ていてツラい状況が続くと、視聴者が離れる可能性もあるかも……」(前同)

 生方氏が描こうとしているテーマは深く、ドラマの出来も素晴らしいながら、ついていけなくなる視聴者もいるかもしれない。次回、図書館の司書仲間だった、津野(池松)と水希(古川)の関係も明らかになりそうで、苦しみを抱える登場人物も増えそうだ。どんな展開になるか注目したい。