■タトゥーを入れた際の主な3つのデメリット
4つ目は、剥削(はくさい)術と呼ばれる方法である。グラインダーというダイヤモンドのヤスリを回転させて物理的・機械的に皮膚面を削り取る。炭酸ガスレーザーのように熱エネルギーによる熱傷状態は生じない分、皮膚には優しく傷跡が多少目立ちにくいが、これもタトゥーを傷跡に置き換える治療と言える。
5つ目は、皮膚移植である。大きなタトゥーを1回で除去することができるが、仕上がりは綺麗とは言えず、かなり目立つ。最大の問題は、移植するための皮膚を採取する部位(太もも、おしり、背中など)に新たな傷跡が出来てしまう点である。
上記治療にはいずれも痛みを伴う上、肥厚性瘢痕(ひこうせいはんこん)や炎症性色素沈着などの合併症が生じることも多い。また、すべて自費診療になるので、患者の金銭的負担も大きい。
タトゥーを入れた際の主な3つのデメリットは、
1、原則、MRI検査が受けられなくなる
2、除去する際に、高額な費用がかかる
3、除去に時間がかかり、たとえ除去できても皮膚は元通りにならない
である。このほかに、疼痛や感染症(C型肝炎、B型肝炎、HIVなど)のリスクが上がるなどのデメリットもある。
「タトゥーはアートだ!」
それ、大切な画像検査ができなくなっても言えますか? 将来的に除去にかかる労力や費用を把握した上で、受けていますか?
にしじま・あきお 1984年7月7日生まれ、富山県出身。形成外科・美容医療の専門医として10年以上、臨床と研究に従事し、2019年に開業。現在は東京・恵比寿こもれびクリニックの院長として勤務する。肌細胞の再生をキーワードに、美と健康のパーソナルドクターとしてオーダーメイド医療を提供している。