■外国人観光客「狂犬病の心配はないのか?」
外国人観光客にとっては予想外と言えそうな奈良公園内で暮らす鹿による反撃。慌てた外国人観光客の中には自身の身を案じ、奈良公園内にある『シカ相談室』へと駆け込む者も少なくないという。奈良県庁・奈良公園室の担当者が答える。
「鹿に噛まれたが“狂犬病の心配はないのか?”と相談に来る方が最も多いですね。実際には、鹿は狂犬病を持っていないので、問題は起こらないんですけどね。
鹿と人間の間で起きた人身事故の発生件数自体は増加傾向にあります。23年度に園内で起きた人身事故は105件。その内、外国人の方が絡むものが57件。22年度は事故の全体件数が69件で外国人の方が関係した事故は12件。コロナが明けたことで訪日外国人観光客の来園者数が増え、事故件数もぐっと増えた印象です」(奈良県庁の担当者)
他にも様々なトラブルが来園者と鹿の間では起きているという。
「鹿せんべい以外の物は鹿へと渡さないでと伝えているのですが、お菓子やパンクズなどの食べ物を与えてしまうという方は良く見かけます。それ以外ですと、来園者が園内で鹿を追いかけ回すといった事例は聞いたことがありますね」(前同)
しかし、現在SNS上で話題を呼んでいる様な来園者から鹿への暴力行為が園内で見掛けられたことは今までにもないという。今回の件に関して県庁へとはどのような意見が寄せられているのだろうか。
「県内外の方からは“こんなん許して良いのか”“日本人の文化を損なうような行為を許して良いのか”という意見は寄せられました。我々としては、天然記念物である奈良公園の鹿をどのように扱うべきなのか。いかに人間と共生させるのか、というのを考えていければと思っています」(同)
間違いなく言えるのは、鹿を何度も蹴り飛ばすなんて行為は絶対に許されるものではない、ということだろう。