■名古屋のソウルフードが全国各地で
ローカルチェーン店の全国進出により各地で郷土の味を食べられるケースもある。たとえば、名古屋発のコメダ珈琲店がその一つだ。店舗によりメニューが異なるが、名古屋を感じるフードがあれこれ揃っている。
『名古屋名物あんかけスパ』(税込み1110円)は、その代表例。甘辛くてスパイシーなトマトソースを絡めたスパゲティーは、どこか懐かしい味だ。
「ドロっとしたあんは甘そうに見えますが、実はピリリとした辛さがあり、口に辛みが残ります。好き嫌いは分かれるかもしれませんが、名古屋メシをどこでも手軽に食べられるという意味で価値があると思います」
■金沢カレーの定番は“カツのせ”
ゴリラのロゴマークの圧が強いゴーゴーカレーは“金沢カレー”を全国に広めた。
同店が公式に発表している金沢カレーの定義は下記の通りだ。
1.ルーは濃厚でドロッとしている。
2.付け合わせとしてキャベツの千切りが載っている。
3.ステンレスの皿に盛られている。
4.フォークまたは先割れスプーンで食べる。
5.ルーの上にカツを載せ、その上にはソースがかかっている。
メニューにはプレーンのカレーもあるが、“カツのせ”するのが定番。『ロースカツカレー』(税込み850円=Sサイズ)が人気ナンバー1メニューになっている。
「安価でカロリーの高いものを食べたい人には最適だといえます。さらにガッツリといきたい人は、カツの2枚のせという手段もあります」
■その他全国展開に成功したローカルチェーン店
他にも、全国に広まったローカルチェーン店はいくつもある。
「ラーメンなら、『一蘭』や『一風堂』(ともに福岡)、串揚げの『串カツ田中』(大阪)、手羽先唐揚げの『世界の山ちゃん』(愛知)など、いろいろある。最近では、大阪発で白菜を具にしたラーメンの『どうとんぼり神座』が店舗数を増やしています」
かつてはローカル限定だった極上の味が身近になるのは嬉しい限りだ。
※価格は店舗により異なる場合があります。
田沢竜次(たざわ りゅうじ)
フリーライター。1953年東京生まれ。83年からフリーとなり、B級グルメという言葉を考案し、定着させた。元祖B級グルメライターとして活躍する他、映画評、書評、60~70年代B級カルチャーなどにも詳しい。