■TVアニメ激増の背景と制作陣の“世代”

『アニメ産業レポート2023』(一般社団法人日本動画協会)によれば、年間で新しく制作されるテレビアニメの作品数は、90年~97年の間は概ね40~50本ほどで推移。99年に100を超えると、その後は増減しながらも14年に200本を突破、22年には246本となっている。

「アニメの制作本数は、90年代に比べて約5倍と激増しています。その母数に対するリメイク作品の割合を計算すると、むしろ比率は下がっていると言えますよ」(前出のいしじまえいわ氏)

 アニメの作品数自体が増えているのだから、リメイク数が多くなるのも自然な流れというわけだ。では、Xに《令和のここ数年、昭和~平成初期やり直してる感じになってきたw》と投稿されるほど、立て続けとなっている”90年代アニメ“の再アニメ化には何か理由があるのだろうか。やはり無視できない理由としていしじまえいわ氏が挙げるのは、制作陣の世代だ。

「テレビアニメの枠が増えて、制作側としては、常にアニメの原作を探している状態です。漫画雑誌では連載開始間もない頃から権利獲得争いになりますし、メジャーじゃない版元やSNSで話題になったWeb漫画などでもアニメ化される。そうしたなかで、制作の中心メンバーである30~40代が、自分たちが子どもの頃見ていた、90年代アニメをリメイクすればある程度のファンは見てくれるだろうという狙いはあるでしょう」(前同)

 また、いしじまえいわ氏は、リメイク元となる時代に作られたアニメの特徴を指摘する。

「昔は、テレビ局が音頭をとってアニメを作ってもらっていたんですよね。出版社側もアニメはあくまで二次展開で、あまりそこで儲けようとしていなかった。でも今は、出版社をはじめいろんな会社が出資して作る“製作委員会”方式でのアニメ制作が主流になっています。

 昔のテレビアニメを再放送するだけでは、制作会社はもちろん出版社もそれほど大きくは儲かりません。でも製作委員会方式でアニメを作り直せば、新たなメンバーであらためてビジネスができるというわけです」(同)