■円安、燃料高のダブルパンチも……
豚は種付けから出荷までにかかる期間がおよそ10か月。本来であれば昨年の10月頃に、種付けされているはずだった豚が猛暑により種付けされておらず、7月末のこの時期になっても十分な数の豚が出荷できない状況にあるというわけだ。猛暑の影響は、豚の生育にも及んでいるという。
「豚は品種にもよりますが90キロほどはないと市場へと出荷ができません。しかし、今年も猛暑で、その影響で豚がエサとなるトウモロコシを全然食べない。冷たい水を飲むばかりで、これでは豚が太りません。豚舎にエアコンをつけて生育する業者もあると聞きます。夏場の豚に関しては出荷にかかる日数が20日間ほど伸びている状況です」(前出の相馬さん)
また、豚の出荷へとかかる日数が延びたことで、必要となる飼料代が増えたことも大きな負担になっているという。
「豚の飼料はアメリカ産のトウモロコシが主。円安と燃料費の高騰で飼料代は倍にまで値上がっています。従来は豚の卸価格の4割ほどですんでいた飼料代ですが、今では7割以上を埋めています」(前同)
そんななか、豚肉を少しでも安く食べたいという消費者は、どの部位を食べるのが良いのだろうか。
「1頭の豚から取れるロース肉は全体の10%程度。ヒレ肉なんて1キロほどです。一方で、もも肉は全体の30%ほどで25キロは取れる。たくさん取れる部位は比較的値上げされにくいはずなので、狙い目ではないでしょうか」(同)
牛肉と比べ安価で、家計の強い味方だったはずの豚肉。主婦から“ブー”イングが飛び出そうなほど今、値上がりしている。