「6703人」――。

 衝撃的な数字が武見敬三厚生労働大臣の口から伝えられたのは7月23日のこと。

「2023年の大麻による検挙者数が過去最多であると発表されました。30歳未満の使用者が多く72.9%と過去最高で、若年層の間での乱用拡大に歯止めがかからない状況です」(全国紙社会部記者)

 7月26日発売の『週刊現代』(講談社)によれば、今年4月に北海道警察遠軽署の警官2人が大麻を使用した“大麻パーティー”を開催し、書類送検されたという。大麻の魔の手は違法行為を取り締まる側である捜査機関に勤める捜査官にも及んでいるのである。

 今まで大麻による検挙者数が過去最多だったのは、21年の5783人。この数字を1000人近くも上回る検挙者数が記録された背景には、どのような事情があるのだろうか。弊サイトは、マトリこと厚生労働省麻薬取締部元部長の瀬戸晴海氏に話を聞いた。

「薬物と聞けば、自分の生活とは遠い世界の話と思われるかもしれません。しかし、それは大間違い。薬物で検挙される人の職業は医師、教授、公務員、有名企業のサラリーマンなど様々です。社会的地位もあり、傍から見れば薬物と縁もゆかりもない様な人でも一瞬でハマってしまうのが薬物です。大麻による検挙者数が過去最多を記録したというのは、薬物が世の中にまん延している証左でしょう」(瀬戸氏)

 一般社会へと薬物が広がる要因の1つとなっているのが、SNSの拡大とスマートフォンの普及だという。

「ネットを使うと自分の知りたい情報しか検索しませんよね。大麻に興味がある人は“大麻合法化”“医療用大麻”などのキーワードでリサーチしがちです。すると、カナダなど近年、大麻が合法化された国での体験記や、医療用大麻を推進する専門家の記事がスマホの画面上には出てくる。これを読んだ若い人は“海外で認められているなら”と、大麻は安全だと勘違いをしてしまうわけです」(前同)

 現にSNS上を検索すれば、大麻の売買を行なっている形跡はあちらこちらで確認できる。

「大麻を示す隠語をSNS上で検索すれば、密売人のアカウントは無数に表示され、簡単につながりを持てます。若年層の間で大麻が広まった理由です」(同)