■デビュー作で超重要な役を好演
加えて、松本は出演した7月19日放送のトーク番組『A-Studio+』(TBS系)で、佐藤との関係が掘り下げられたばかりだった。
『仮面ライダー電王』の終了後すぐに売れ始めた佐藤と比べると、松本は『やんごとなき一族』(フジテレビ系/22年4月期)でブレイクするまで長い年月を要したが、佐藤は松本が『やんごとなき一族』で話題になったことが嬉しかったと『A-Studio+』の取材に答えていて、それを知った松本は目を潤ませていたため、今回、松本が映画『はたらく細胞』に出ることが公になった際は《エースタのは振りだったのか!》という声も上がった。
そんな佐藤と松本が共演していた『電王』だが、松本演じる主人公の姉・愛理は超重要な役だった。当初はおっとりした天然、ブラコン気味のお姉さんで、喫茶店は彼女目当ての男性客が絶えない――“子ども向け番組のお姉さん”としてありがちなキャラクターとして描かれていたが、物語中盤で子ども向け番組とは思えないとんでもなく重い設定が判明する。本編前に婚約者が突然失踪しており、ショックのあまり彼に関する記憶を失ってしまっていたのだ。
さらに、終盤には記憶喪失の理由が、黒幕の野望を阻止するための意図的なものだったことも発覚。彼女が記憶を失うことで隠した“ある人物”の存在が世界存亡のカギになってくる――という非常に責任重大なキャラを、松本はデビュー作でいきなり任されたのである。
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愛理が湖でたたずむ姿、最終回に病院のベッドで涙を流すシーンなどは非常に儚げで、多くの視聴者の胸を打った。松本はコメディエンヌの才能だけでなく“薄幸系女優”としての顔も持ち合わせているが、『電王』の演技が影響を与えたところもあるだろう。
『仮面ライダー電王』の最終回は、主人公・良太郎がデンライナー(タイムマシン)を見送り、「いつか、未来で」とほほ笑むシーンで締めくくられている。野上姉弟こと佐藤と松本にとっていつかの未来は、今年だったようだ――。