King & Princeの岸優太(27)主演の『すきすきワンワン!』(日本テレビ系)は、無職で無気力に生きている青年が、幼少の頃に飼っていた犬の生まれ変わりだという青年に“再会”し、愛し愛されることで成長していくファンタジーなストーリーだ。第5話は、炬太郎(岸優太)が、柿田(おいでやす小田/44)の片思いに寄り添うことで、天(美 少年/浮所飛貴/20)を大切に思う自分に気がついた。
■渾身の芝居で見せ場をつくる岸優太
炬太郎は、自分のことを親身になって考えてくれる天のことを、認めつつあった。天は、少年時代に飼っていた愛犬・てんの生まれ変わりというぶっ飛んだ人物なのだが、なにげない毎日を一緒に過ごす2人の様子を見ていると「そんなこともあるかもしれない」という感覚になってくる。
時折、天が犬のような仕草をするのだが、今回は「待て」を忠実に行っていた。それは、炬太郎が財布を忘れて出掛けたことに気づき、届けてあげたときも同じだった。
柿田と一緒だった炬太郎は、天に手のひらを見せて「待て」と言い、財布を受け取らずにその場を立ち去ってしまう。柿田と飲み明かし、フラフラになって帰宅した炬太郎は、天を待たせていることを忘れて居眠りしてしまう。何時間ぐらい経過したのだろう、ふと目が覚めて天を探すが、家中どこにもいない。ハッとした炬太郎は、家の鍵も閉めずに走り出す。そう、炬太郎に「待て」をされた天は、寒空の下で何時間もずっと待っていたのだ。
けなげな天が愛しくなり、涙が流れて好きだと認識する……と思いきや、ふと冷静になってしまう。家主と間借り人の関係であり、飼い主と犬だったというだけで、こんなに愛しい感情になるのだろうか。混乱して、百面相をしている炬太郎が見事だった。モノローグで混乱した感情を巧みに表現し、怒涛の感情を表情と仕草だけで表現するのがとてもうまい。
あれこれと葛藤している炬太郎だったが、天は迎えにきてくれたことがうれしくて、ニコニコしている。そして、「コタくんのためなら何時間でも待てるよ、だいじょぶ」と言うのだ。これには炬太郎も痺れただろう、吹っ切れたように天を強く抱きしめた。岸の振り幅が広い芝居に、呼吸を忘れたように見入ってしまった。