■テントが蒸し風呂状態に……キャンプに潜む落とし穴
夏場の登山となると熱中症にばかり注意が向きがちだが、低体温症になるリスクにも気をつけたいという。
「熱中症だけでなく、天候によっては山登り中に、体温が下がってしまうリスクがあります。山では思ったより気温が下がり、風も強くなることがあります。歩いている間は気がつかなくても、休憩した時など、止まった瞬間に体が冷えることがある。場合によっては低体温症になるという危険も念頭に、寒さ対策を考えておいたほうがいいですよね」(前出の藤井氏)
自然を感じられるとして、人気を集めるキャンプにも落とし穴があるそうだ。標高が高いキャンプ場は涼しくて人気だが、体は山登りの最中と同じで、炎天下での脱水状態に陥りやすくなるためだ。
「今はテントの素材もいろいろなものがあるので、通気性などいわゆる“夏仕様”になっているものを選ぶのがいいでしょう。設営は直射日光を避けられる木陰、日陰になるところが無難です。標高が高い場所は涼しいので忘れがちですが、夏の日差しは強いので、熱中症のリスクがあるということを忘れずに」(前同)
設営時は日陰でも、時間が経ったら日が当たる場所になっていて、風通しが悪いと気づかないうちにテントが蒸し風呂、サウナ状態になっていることもあるという。夏のレジャーを楽しむためにも、猛暑対策には十分気をつけて出かけたい。
藤井直人
筑波大学 体育系 助教。博士(学術)。専門分野は運動生理学。
1981年6月24日大阪府生まれ。筑波大学体育専門学群卒業。大学在学中は陸上競技部に所属。その経験を活かし、運動時の呼吸・循環・体温調節に関する運動生理学的研究を数多く行っている。さらに筑波大学体育系の特色を活かし、競技パフォーマンス向上のためのスポーツ科学研究も進めている。著書に『ランナーのカラダのなか 運動生理学が教える弱点克服のヒント』(小学館)