■イルカの姿を見つけても「なでちゃダメ」

 イルカに噛まれる事故は浅瀬でも報告されているのだが、実際に海水浴場ではどのぐらいの深さまでイルカは泳いでくるものなのか。また、狙う相手に特長はあるのか。前出の敦賀海上保安部の担当者が説明する。

「1mから2m、なかには大人の膝ぐらいの深さまでならやって来るケースもあります。イルカにしてみればじゃれて人間を甘噛みをしているだけかもしれませんが、体長は2~3mもあり、時速40~50kmで泳ぐ動物です。人間にしたら軽トラックに突進されているようなものです。

 動きも早いので、イルカが向こうにいるよと言われて“どこ?”と辺りを見回したらもうすぐそばにいた、ということもあります。噛む相手については老若男女問わず、今のところ目立った共通点はありません」

 遭遇したらどういう対処をするのが正解なのか。

「触らないことです。泳いでいる時にイルカを見つけ、背びれなどをなでていた男性が噛まれる事故も起きています。距離をとって早めに海から上がるしかありません。また、“人間=良い人”だと思わせないように、エサは絶対にあげないでください」(前同)

 気づかないうちに、イルカが音もなく近づいてくる場合もある。敦賀海上保安部の担当者は、「泳ぐ時は、監視員さんがいて、アナウンス設備があるような海水浴場内で」と呼びかける。

「自分だけではイルカの存在になかなか気づきにくいものです。監視員さんがいれば、もし(背びれなどで)イルカの姿が確認できれば、海から上がるようにアナウンスをしてもらえます。今現在は噛まれてもケガで済んでいますが、それ以上の事故にならないとも限りません。絶対に触らない、姿が確認できたら海からすぐに上がる、エサはやらないという3点を守っていただけたらと思います」(同)

 可愛い見た目のイルカだが、鋭い歯は持っているということだ。