■最後は津野・池松壮亮しか残っていない?

 さらに、次回予告では、弥生が仕事が忙しいことを理由に夏と海に会っていない描写や、夏に「弥生さんが母親になってくれたらうれしい」と言われ、「ちょっと待ってもらっていい?」と応じる、弥生が距離を取りたがっているようなセリフがあり、2人が別れる可能性も出てきた。そうなれば、終盤にきて最悪の悲劇だ。

 しかし、本作が「人はいつどのように“父”になり、いつどのように“母”になるのか」を描くのならば、最終的には、弥生が海の母親になっていく流れのはず。別れた後に2人が再びよりを戻すのならば、寄り添うのは誰で、どうやって背中を押すのだろう?

 まず思い浮かぶのは、母という立場の2人。水季の母である朱音(大竹しのぶ/67)と、夏の実母であるゆき子(西田尚美/54)だ。だが、朱音は水季の母で海の祖母であるため、不安定な夏と弥生に海を託すくらいなら、今まで通り自分が育てることを選ぶはずだ。一方、ゆき子は弥生の立場も理解していて有力候補だが、血の繋がらない子の母になる苦悩を分かっているから、強くは言えないだろう。

 そうなると、それ以外のメインキャラで残っているのは、図書館司書・津野(池松壮亮/34)だ。第8話の終盤で、弥生の立場、心情を理解していることが描写されているうえ、夏、弥生、海が家族になることで、自分も過去から解放される。劇中で何度も言及されている《外野》の距離感にいるからこそ、津野は3人の今後のことも冷静に見られるだろう。

 いつもの突き放すような言い方で弥生の背中を押し、返す刀で夏を諭す。こんなことができるのは津野だけ。津野によって、夏は父に、弥生は母になるのではないだろうか。

 いよいよ終盤戦。公式サイトの第9話のあらすじには、夏が弥生に「別れたい?」と切り出すとあり、終盤の前に波乱が起きそうだが、誰もが幸せになれるラストを期待したい。(ドラマライター/ヤマカワ)