今から約4年半前の2019年12月12日、漫画家のきくちゆうきさんが自身のX(旧ツイッター)で連載を開始した4コマ漫画『100日後に死ぬワニ』(以下、『100ワニ』)。日を追うごとに右肩上がりで読者は増え、日本版ツイッターの「いいね数」やエンゲージメントの記録を塗り替え、20年3月20日の最終話投稿直前には、日本中がワニの行方を固唾を飲んで見守った。

 そんなきくちさんがこの度、主人公をワニの友人であるネズミに据え、4年ぶりに『100ワニ』の続編となる新連載漫画『100日後に死ぬ×ネズミ』をXでスタートした。

 連載が始まるお知らせをした投稿はインプレッション数1800万、いいね数3.6万人(8月23日時点)がつき、早くも大反響を読んでいる。

 本サイトはきくちさんに、なぜ『100ワニ』の続編を描こうと思ったのか。新連載で何を伝えたいと思ったのか真意を聞いた。

きくちゆうきさん  撮影/冨田望

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――8月21日から、約4年半ぶりに『100ワニ』の新シリーズ『100日後に死ぬ×ネズミ』がスタートしました。なぜ、このタイミングでXでの連載を開始しようと思ったのですか?

 実は、2020年当時から、ネズミのその後や、ワニがどうなったのか? の話を描きたいと思っていたんです。なかでもワニの生死の行方ももちろん大事でしたが、「ネズミやその仲間たちがその後、どう生きていくのか」という“ネズミのその後”も作品として大事な部分だと思っていました。

――どんなふうに新連載が決まったのでしょうか?

 出版社さんからオファーをいただいたんです。最初は「異世界転生モノを描いてみませんか?」というオファーを受け、「い、異世界!?!? 僕が!?」と戸惑いまして(笑)。一度話だけでも聞いてみよう、と思ってメールをくださった出版社さんの編集者の方とお会いしたんです。

 それで二人で話していくうちに、「『100ワニ』の続きは描かないんですか?」という話になりまして。物語として、一度は一応きれいに終わることができたし、当時は続きを描くつもりはありませんでした。

 しかし、もともとネズミの話を描きたいと思っていたこともあり「いいきっかけだし、続編を描いてみよう……」と思い始めまして。話していくうちに、「よし、やろう!」と心が決まっていったんです。

――前回の『100ワニ』は、連載が終了した2020年3月20日、最終話の投稿が「いいね数」200万以上、エンゲージメントが2億を超える大反響を呼びました。と同時に、最終回直後に、映画化をはじめとする展開が発表されたことをきっかけに、予期せぬ形で炎上に発展してしまったんですよね。とはいえ、同年4月に発売された書籍は累計35万部を突破しました。

  当時、見てくださる方々からは「『100ワニ』の続編を読みたいです」との声も多数届いていましたので、いつかはワニのマンガの続編を読んでいただけたらいいな、との思いも心のどこかにはありました。

 しかしその一方で、当時、SNSやネット上で全くの事実無根のフェイクニュースが飛びかい、「マンガを描いて、なんでこんなに言われるんだろう」というやるせなさも大きかったんです。

 今、思えば当時、しっかりと事実に反することは強く否定するコメントを出すべきだったと思っています。

 前回のワニのマンガは、自分ひとりで始めましたが、こうした事情もあり続編は、出版社さんの編集者さんのほうからオファーをいただかなかったら、たぶん描くことはなかったと思います。

きくちさんが描くイラスト  撮影/冨田望