今年、芸能生活50周年を迎える名優・松平健(70)。近年もNHK大河ドラマ鎌倉殿の13人』(22年)における平清盛役や、TBS日曜劇場『下剋上球児』(23年)では主演の鈴木亮平(41)の恩師役を演じ俳優としてその存在感を示している。まもなく始まるNHKの朝ドラ『おむすび』にも橋本環奈(25)演じるヒロインの祖父役として出演が決まっている。

 驚くことに朝ドラにはこれが初出演。古希を迎えてますます脂が乗っているようにも見えるが、それは俳優業だけではない。エンタメ誌記者は、「いま、Z世代を中心に若者の間で大人気になっているんです」と話す。

「8月31日の『24時間テレビ』でも生披露され、大盛り上がりになりましたが、20年前に発売され一世を風靡した代表曲『マツケンサンバⅡ』がやはり大きく、“マツケン”が昨年から引っ張りだこ。

『渋谷パルコ』ではコラボカフェやポップアップストアが開かれたり、雑貨店『ヴィレッジヴァンガード』ではコラボグッズが発売されています。ほかにも、小中学生向け少女マンガ誌『ちゃお』の誌面に登場したり、少年マンガ誌『月刊少年チャンピオン』(秋田書店)では松平さんが異世界に召喚され、魔王軍と戦うバトルマンガの連載が始まるなど、これまでにない広がり方をしています」(前同)

 その遠因となったのは、コロナ禍の重苦しい空気のなかで高まった“マツケンサンバ需要”だという。20年末、公式YouTubeチャンネルで『マツケンサンバⅡ』のミュージックビデオが公開されると、22年8月には1200万回再生を記録。24年8月には2200万回再生を突破した。

 21年の東京オリンピック開幕式・閉会式では「『マツケンサンバ』が見たかった」などの待望論も巻き起こる事態に。こうした声が後押しして22年末の『NHK紅白歌合戦』では『マツケンサンバⅡ』が披露され、あらためて国民から喝采を浴びた。

「17年ぶりの紅白出場に合わせて22年末から23年頭に『渋谷パルコ』で開催された『マツケンサンバ POP UP SHOP』は、担当者や事務所も驚くような売り上げを記録したそうで、これがその後も続くパルコとのコラボカフェやコラボキャンペーンにつながったそうです」(同)

 しかし、なぜ“マツケン”は若者の心に刺さるのか――。若者研究の第一人者で、マーケティングアナリストとしても活躍する芝浦工業大学デザイン工学部教授の原田曜平氏は、弊サイトの取材にこう答える。

「まず大前提として、今の若者は『マツケンサンバⅡ』になじみがあります。ちょうど最初にヒットした時期が幼少期だったり、運動会などで『マツケンサンバⅡ』を聞いたり踊ったりしたという経験があり、“懐メロ”なんですよね。それがコロナ以降に『マツケンサンバⅡ』がふたたび注目され、人気アイドルが音楽番組でコラボしたり、SNSで踊ってみせたりと、若者が目にする機会が増えたのがひとつの要因だと思います」(原田氏)