有料袋でゴミ処理費用を負担

「北海道などのようにゴミ袋の料金が高い地域はありますが、全国的に見ると1リットル=1円が平均的な料金といえます」(前出の山谷名誉教授)

 したがって大袋(40リットル~45リットル)1枚45円が相場。それを考えると前出の南丹市の場合、相場の約2倍近くだ。住民らが「ゴミ袋が高いので……」と言って直に処理場へゴミを持ち込むのも頷ける。

「人口が減少している市町村では、人件費や焼却炉施設などのゴミ処理にかかる1人当たりの固定費負担額が増えてきます。特に北海道では、1リットル2円程度だった価格を値上げするところが増えてきました」(前同)

 室蘭市、北広島市などでは大袋1枚120円と全国平均の3倍になった。士別市は135円で3倍を上回る水準となり、町村では、えりも町はなんと、200円(4.5倍)。より高くなる傾向だ。
東京都の多摩地区でも、調布市や立川市、日野市など、1リットル2円程度の価格の採用が定着している。

東京都でも全国平均の2倍のゴミ袋代。調布市の有料ゴミ袋 ※画像は調布市ホームページより
東京都でも全国平均の2倍のゴミ袋代。調布市の有料ゴミ袋 ※画像は調布市ホームページより

 一方、大阪の箕面市では一定枚数まで各戸に無料で指定袋を配布し、それを超えると有料とする制度をとっている。

 ただし、箕面市の自治体関係者は「コスト面を考えるとかなり厳しい。ただ、いまさらこの制度を止めると住民に言いにくい状況」と苦しい胸の内をのぞかせる。

「指定ゴミ袋を有料化した市町村で廃止した例はありません。住民のゴミに対する意識やマナーが高まり、かつ、町の美観も良くなり、実際にゴミの減量に繋がるケースが多いんです」(山谷氏)

 日野市は人口10万人以上50万人未満の市町村の中で、「1日、一人あたりのゴミ排出量」が「最も少ないランキング」(環境省発表)で日本一となっている。

 一方、前出の全国一ゴミ袋の料金が高いえりも町では、高齢者が多く、ごみ収集は戸別収集が原則。そのコストがゴミ袋料金の高額化に繋がる。えりも町関係者によれば、住民側も「当然のコスト」と理解を示しているという。

 前出の滝沢氏がこう続ける。

「東京23区もいずれ有料袋になるんだと思います。その地域に一人でも雑な人がいると、他の人の出し方も雑になっていきますし、景観が悪化すると空き巣にも狙われやすく、治安上良くない。逆に、ゴミ袋に“ありがとう”って書いてくれる人がたまにいるんですが、目茶苦茶嬉しいですもんね」

 お世話になるゴミ清掃員に喜んで仕事してもらうためにも、有料指定袋の導入はアリなのかも……。

滝沢秀一(たきざわしゅういち)
1976年9月14日生まれ、東京都出身。1998年、西堀亮とお笑いコンビ「マシンガンズ」を結成。2007、08年M-1グランプリ準決勝進出、23年『THE SECOND~漫才トーナメント~』準優勝。芸人活動のほか、12年にゴミ収集会社に就職し清掃員としても働く。ゴミに関する社会問題をSNSで発信し、環境・食品ロスなどについての講演会も行う。

山谷修作(やまやしゅうさく)
東洋大学名誉教授。1978年3月、中央大学大学院経済学研究科博士課程修了。経済学博士。2019年に「ごみ減量資料室」を開設し、代表を務める。専門は環境政策、特に廃棄物行政に詳しく、全国の自治体に足を運びフィールドワークを実施。環境省や自治体のごみに関する審議会にも数多く参加。近著に『ごみ減量政策』(丸善出版)がある。