いま、SNSでは「首下界隈」なる“界隈”が広がりを見せつつある。

 ここでいう“界隈”とはオタク用語発祥で、趣味・嗜好・行動様式が同じ人たちのつながりを意味する言葉。“首下界隈”はあえて顔を写さず、首から下だけを自撮りしてSNSに投稿する人たちの総称だ。なぜ、“首から下”なのか――。

 その前に、ファッション誌ライターがSNSと自撮りの関係について解説する。

「SNSの普及とともに、自分をどうやって良く見せるかという点において、さまざまな撮影ポーズがトレンドとなってきました。片手を頬に当てて小顔に見せる“歯痛(虫歯)ポーズ”に始まり、角度を工夫したりスタンプで顔の半分を隠したりして、片目だけを見せた自撮り写真をアップする“片目界隈”。それらは素顔の全貌がわからないため、雰囲気を“盛る”ことができるとして人気があります。

 また“首下”の写真でいえば、顔を出さないことで相手の想像力をかき立てる層は以前からいたものです。筋トレをした体やコスプレ姿、男性の女装など、体やファッションを見せることを目的とした人たちが多かった印象で、顔を出さない自己表現といえる形です」

 首から下だけの写真は、顔よりも注目してほしいポイントがある場合に撮影されてきたと言えそうだが、“首下界隈”と称する人たちは、これまでの首下写真と何が違うのか。

 実際に“首下界隈”の写真を撮影・投稿したことがあるカフェ店員のハナさん(23歳・仮名)は、ある男性アイドルグループのファン。「オタクがやっているイメージで、同じ趣味があるとか、同じグッズを持っていることが“首下界隈”のポイント」だと話す。

「推し仲間と一緒にライブに行った時などに、推しの写真やグッズを持って、首から下の写真を撮りますね。顔を写さないのは、別にそこがメインじゃないからというか。伝えたいのは推しやライブ情報であって、自分の顔ではないので」(前同)

 ハナさんは、「SNSに自分の顔をさらす理由は全くない」と語る。

「タレントやインフルエンサーならまだしも、一般人で、アカウントも本名ではない私が素顔を公開するメリットは何もありません。かといって、加工したりスタンプをつけたりするのもダルい(笑)。首から下だったら別にそのまま公開しても問題ないというスタンスです」(同)