広瀬すず(24)主演の『夕暮れに、手をつなぐ』(TBS系)は、田舎育ちで天真爛漫な女性が、音楽家になるのを夢見る青年と出会い、東京で夢や恋を紡ぐラブストーリーだ。第6話は、空豆(広瀬すず)はファッションの世界で仕事をすることの充実感に溢れ、音はユニットを組むボーカル選びに難航する。2人の距離は相変わらずで、シャボン玉のように美しく儚い時を刻んでいるように見えた。
■音の夢が叶うことの難しさ
音がユニットを組む相手は、ズビダバのアリエル(内田理央/31)という驚きの人選だった。アリエルなら、ズビダバでの活躍で知名度はあるし、技術も経験値もある。ボーカルの人選については、すでに事務所に所属しているような“大人の香りがする”アーティストは避けていたが、アリエルなら同じ事務所だから問題はない。むしろ、話題作りも容易く、ヒットにつながる要素を持ち合わせている。
アリエルとマンボウ(増田貴久/36)との関係など諸々の事情を受け止め、レコーディングに向けて準備を進める音は希望に満ちていた。だけど、収録日にアリエルはあらわれなかった。マンボウの隣で幸せになりたいという身勝手な理由だったが、それを音もA&Rの磯部(松本若菜/38)も受け入れた。
音は面食らったようだが、磯部はうすうす気づいていて、逃げるかもしれないと感じていたという。磯部は音楽業界を熟知しているから、音のデビューに何かをセットにして売り出すことを考えていたのかもしれない。未遂で終わったが、スポンサーの娘をデビューさせるために利用したり、大人の事情込みでアリエルと組ませてみたり、親身なところもあるがクールでしたたかな人なのだ。音が、これまで地道に努力してきたことを思えば、気持ちよくデビューさせてあげたかったなと思う。
そして、夢を叶えることの難しさを、あえてボーカル選びで描いたのだとしたら、少し残念だ。とはいえ、無名のアーティストのデビューだから、簡単に売れるアーティストになることが難しいことも理解できる。だから、とても歯がゆく思えた。