■悩む姿が似合いすぎる杉野遥亮
今回、山で起きたのは、圭吾たちが蜂に刺さたことによるアナフィラキシーの発症。ドクターヘリが出動する緊急事態ではあったが、正直、医療ものとしては地味な内容だった。毎回、山で事故が起きて、歩たちが駆けつけるという、おなじみのパターンが続いているのだが、それでも視聴率は堅調だ。
その理由は、本作が事故に絡めながら、江森(大森)、玲(宮澤)、典子(岡崎紗絵/28)など、脇を固めるMMTメンバーのキャラを丁寧に描いているから。さらに、これらのキャラがしっかり機能しているから、チーム医療ものとしての魅力も際立つ。Xでキャラに対する言及が多いのは、その証拠だろう。
また、杉野が歩のキャラにハマっていることもある。Xでも、《まじめで苦悩する顔がいい》などの声があって、人の良さがにじみ出てしまう杉野だからこそだろう。昨年放送の『ばらかもん』(同局系)では、天然ながらプライドが高く気難しい役を演じていたが、杉野には歩のような実直なキャラのほうがしっくりくる。
次回は、理想に向かってひた走る歩のせいで、MMTが存続の危機に陥りそうだ。しかし、そんなときもMMTのメンバーは、厳しい山岳医療の現実にぶつかりながらも、最後は歩に寄り添ってくれるだろう。地味ながらも人の思いが伝わってくる。そんなところに本作の人気の理由がありそうだ。(ドラマライター/ヤマカワ)