倒産するラーメン店が続出する一方で、常にどこかで新店がオープンするラーメン戦国時代。そんな中、イスラム教徒(ムスリム)向けの“ハラルラーメン”を出すラーメン店『Gyumon Halal Ramen Shibuya(牛門ハラルラーメン)』に連日行列ができている。
「日本のラーメンは食べたいけど、ムスリムが食べていいかどうかを確認しなくちゃいけないからね。ここなら安心だと聞いて来たの」――マレーシアから初めて日本に来たという女性が、東京・渋谷にある店の前で嬉しそうに顔をほころばせる。
世界中に約18.5億人いると言われるイスラム教徒(ムスリム)。その割合が高い中東やインドネシア・マレーシアなどASEAN圏からの訪日旅行者は年々増加している。そんな彼らが直面するのは「食」問題だ。
イスラム教では食べてよいもの・いけないものが厳格に定められている。もっとも有名なのは豚肉で、牛肉や鶏肉など豚肉以外の肉でも、イスラム法にのっとって処理されたもの以外口にしてはいけない。酒類もアウト、調理用の酒やワインもNGだ。なお、食べてよいものは「ハラル(ハラール)フード」と総称される。
そんなムスリム旅行者たちだって、ラーメンは食べたい。
国土交通省観光庁がまとめた「訪日外国人の消費動向(2023年)」によると、訪日外国人が「日本でしたいこと」の1位は「日本食を食べること」で78.3%。一方で豚肉・豚由来品・動物由来品・酒などに対しては、約7割のムスリムが“使用有無を確認しなければ口につけない”と回答している。政府はムスリム対応のガイドブックを作成するなど、受け入れ体制の整備を進めているところだ。
前述のラーメン店『Gyumon Halal Ramen Shibuya(牛門ハラルラーメン)』は、焼肉店『牛門』が手がけるムスリム対象の店。今年2月に東京・浅草店をオープンすると、池袋店、渋谷店と順調に拡大中だ。渋谷店イチオシのラーメン『Special Ramen』(税込・2640円)は赤いスパイシーなスープが特徴で、牛肉やゆで卵のほか、大きくてジューシーな唐揚げがトッピングされている。"和”を感じられる美しい内装も人気の秘訣だ。