■「世界で最高のスープ」1位に豚骨ラーメンが

 全国47都道府県のラーメンを食べ歩くラーメンライターの井手隊長によれば、ラーメンは“外国人が日本で食べたいもの”の上位だという。

「日本といえば寿司というイメージでしたが、ここ10年、日本で食べたいものはラーメンが1位、2位を争う人気になってきています。

 その背景として、まずパリやベトナムにも店舗を出すチェーン店『一風堂』のような日本の豚骨ラーメン屋さんが世界に進出し、評価されてきたのは大きい。こんな美味いものが日本にはあるのかということが広く認知され、昨年は、食をテーマにした旅行ガイドサイト『TasteAtlas』が発表した“世界で最高のスープ100”で日本の豚骨ラーメンが1位になったほどです」(井手隊長)

※画像はTasteAtlasのの公式X『@TasteAtlas』より

 外国人に広まるラーメン人気の火付け役は豚骨系だったが、世界にはムスリムはもちろんベジタリアンやヴィーガンなど、“豚骨”を口にしない人たちも多い。それを踏まえ、香港やアメリカにも店舗がある有名ラーメンチェーン『一蘭』では19年から『100%とんこつ不使用ラーメン』(税込・1180円)として鶏をベースにしたラーメンを提供し始めている。

 豚骨イメージの強いラーメン店の“ノー豚骨”メニューには《一蘭なのに?》という声もネット上では上がるが、前出の井手隊長は、「ラーメン界の人って、壁に立ち向かう挑戦が好きなんですよ」と話す。

「豚骨がなかったら、日本のラーメンがここまで世界中にファンを増やせなかったのは確かです。ただ、食べられない人がいるとなると、今度は“豚を使わなくても美味いものつくってやる!”という気概、エネルギーを持つのがラーメン界のいいところでもありますね。一風堂が販売する植物性“豚骨風”ラーメンを食べたことがありますが、素直においしく、素晴らしいと感じました」(前同)