■時代に合わなかった『南くんが恋人!?』

 一方、『南くんが恋人!?』は、内田春菊氏のコミック『南くんの恋人』(青林堂)が原案で、南くん(八木勇征/27)が手のひらサイズになって、ちよみ(飯沼)の前に現れるラブコメディ。全話平均視聴率が第7話現在で3.8%で、『ビリオン×スクール』とともに2%台に沈んだ回もあり、2作で今期ワーストを争っている。

 これまで特別編を含め5度テレビドラマ化されており、鉄板の人気コンテンツかと思いきや、残念な数字に。原因はいくつかあるが、まず、この時代にCGがチープすぎた。あえての狙いかもしれないが、ちよみと南くんのシーンは、まるでコントを見ているようで、これで視聴者のキュンを誘うのは、さすがに無理があった。

 また、ストーリー重視のドラマが増えている中、毎回、南くんが見つかりそうになるドタバタエピソードで乗り切るのはキツかった。しかし、実は死んでいて、小さくなっているのは消えてなくなるまでの猶予期間という新機軸を出したのは好印象で、終盤ではなく、もう少し早く出していれば、視聴者の興味を引けたかもしれない。もし次にリメイクするなら、令和にふさわしい『南くん~』を見せてほしい

 山田も木南も高い演技力を見せ、日曜劇場『VIVANT』(TBS系)で凄腕ハッカー・沢島真凛役が印象的だった飯沼も、ラブコメ主演で新たな成長を感じられた。彼らの次作に期待したい。(ドラマライター・ヤマカワ)

■ドラマライター・ヤマカワ 編プロ勤務を経てフリーライターに。これまでウェブや娯楽誌に記事を多数、執筆しながら、NHKの朝ドラ『ちゅらさん』にハマり、ウェブで感想を書き始める。好きな俳優は中村ゆり、多部未華子、佐藤二朗、綾野剛。今までで一番、好きなドラマは朝ドラの『あまちゃん』。ドラマに関してはエンタメからシリアスなものまで幅広く愛している。その愛ゆえの苦言もしばしば。