■“存在感”はなくなってきても――

稽古で鬼の形相を見せる若山  ※提供写真

 若山は千葉が設立したジャパンアクションクラブの13期生。千葉は師匠にあたる。そして千葉は、2021年8月19日、新型コロナウイルス感染症による肺炎のため、千葉県君津の病院で亡くなった。

「毎年、夏と暮れにJACのメンバーで千葉さんの君津の家に泊まって、お墓参りに行くんです。今年の夏もみんなで手を合わせてきました。亡くなって3年――大きかった喪失感はなくなりましたね。でも、“存在感”が大きくなってきた。

 逝去後はいろいろなことがあり、いろいろ対応が大変なこともありましたが、時間が経てば良い思い出ばかりになってきますよね(笑)。だから、よく千葉さんのことを思い出しますね。

 そして、今の時代、過去の作品はいくらでも観られる。以前は、意図が分からなかった芝居も、自分も歳を重ね現在なら、“なるほどなあ”と感じることがあるんです。そうなると、ますます千葉さんのすごさが分かってくる。やっぱり、大きな人でしたね……」

 千葉さんの死去から3年――若山は父や叔父、そして師匠も愛した時代劇の舞台に臨むわけだが、そこには弟子の姿も。長年付き人も務める若林龍太郎(31)が織田信長の息子・織田信忠を演じる。

舞台に出演する賀集利樹(左)と若林龍太郎  ※提供写真

「父に、勝おじちゃんに、そして千葉さんに恥じない芝居を見せたいと思います」

 若山はそう最後に語った――。