加齢に伴い、増える目の悩み。この10年間で、日本人の平均視力は下降の一途をたどっているという。

『二本松眼科病院』副院長・平松類氏は次のように話す。

「30分以上、スマホの画面を見ると、眼圧が0.4~0.6上昇するという研究結果があります。眼圧が上がると、目に負担がかかり、緑内障のリスクが上がりますし、近くの画面にピントが合った状態が続くと、年齢よりも老眼が早く進む、“スマホ老眼”になります」

 加えて、歩きながらスマホを見る“歩きスマホ”も、目に悪影響があるという。

「画面が上下左右に細かく揺れる状況下だと、視線を安定させるために目玉が細かく動きます。すると、目の筋肉に負担がかかり、角膜(黒目)の形が歪み、乱視が強く出ることがあるんです」(前同)

 そこで、目に負担をかけがちな現代社会で、気軽にできる“目をよくする生活習慣”を紹介しよう。

 まず、スマホの対策に有効なのが、アメリカ・ノースイースタン大学が提唱する20-20-20の法則だ。

「20分に1回、20秒間、20フィート(6メートル)以上、遠くを見ましょうという、目の休憩方法です。定期的に遠くのものを見ることで、目の疲れを緩和し、スマホ老眼の予防にもなります」(同)

■ブルーベリーよりも視力回復に効果大なのは…

 では、食生活はどうか。

 目によい食材といえばブルーベリーだが、それよりも効果的なのが、ほうれん草×卵の組み合わせだという。

「ブルーベリーに含まれるアントシアニンと、ほうれん草や卵に含まれるルテインには、ともに抗酸化作用があり、目のダメージを回復し、緑内障などの予防につながります。アントシアニンは全身に作用するのに対し、ルテインは目に集中して作用するので、ほうれん草と卵が入った料理が、目にとってはベストです」

 一方、飲み物は緑茶が好ましいという。 「2018年に発表された研究結果によると、“1日1杯以上、温かいお茶を飲む人は緑内障の発症リスクが74%低下した”といいます。緑茶に含まれるカテキンやテアニンは、目の健康によく、リラックス効果があり、睡眠の質が向上するので、一石二鳥です」

 質のよい睡眠は、疲れ目などを解消する。

 ただし、緑茶を飲む際、一気飲みは厳禁だという。

「水分を急激にとると、眼圧が上がって逆効果です。1杯120ミリリットル程度を飲むのが理想で、それ以上の量は間隔を空けて、ゆっくり飲んでください」