■『スカイキャッスル』リメイクは無理があったか

 最終章に入ったが、残りはおそらく2話だろう。オリジナルの韓国ドラマも、エピソードてんこ盛りの内容だったが、視聴者からは、本作がそれらをすべて描ききれるか心配する声もある。不調の原因はこのへんにありそうだ。

 もともと、韓国版オリジナルは全20話。それを10話弱に縮めようとしているため、かなり駆け足な展開になっている。妻、夫、子どもたちのドロドロ関係が描かれるはずが、最近は子どもたちの問題がフォーカスされていて、妻同士の関係性や、夫たちの病院での出世争いなど、大人たちのエピソードが薄くなっている。

 ただでさえ展開が早く、それぞれの関係性がコロコロ変わるのに、前回はサッカー中継のため休みで、これも視聴率の伸び悩みに響いただろう。2週間ぶりに見たときに、それぞれのキャラの立ち位置がよくわからなくなっていて、“おいてけぼり感”を覚えてしまう。本作は人物の関係性が見どころなのに、これは痛い。

 オリジナルの要素をすべて描ききれないというのは、もちろん制作サイドは承知の上だったはず。それもあってか、今回は枝葉を少なめにして、紗英(松下)と未久(田牧)の関係性にフォーカスしていた。しかし、それも焼け石に水。いっそ、紗英と未久の物語に変えてしまったほうがよかったかもしれないが、そんなリメイクは無理な話だろう。日本の地上波ドラマでやること自体が難しかったのだ。

 次回は、九条(小雪)に関する“闇深き新事実”が発覚するなど、さらにスピード感を増しそう。オリジナルで描かれたエピソードを、日本版がどう収めるのか注目したい。(ドラマライター・ヤマカワ)

■ドラマライター・ヤマカワ 編プロ勤務を経てフリーライターに。これまでウェブや娯楽誌に記事を多数、執筆しながら、NHKの朝ドラ『ちゅらさん』にハマり、ウェブで感想を書き始める。好きな俳優は中村ゆり、多部未華子、佐藤二朗、綾野剛。今までで一番、好きなドラマは朝ドラの『あまちゃん』。ドラマに関してはエンタメからシリアスなものまで幅広く愛している。その愛ゆえの苦言もしばしば。