■タガメからは青りんごの香りが広がって……

 糞茶で心の準備をしたところで、記者もパフェの前に昆虫食デビューをしておくことに。初心者には何種類かの食べ比べセットが用意されており、今回は「昆虫10種食べ比べセット(超上級編)」(3480円)に挑戦。

『昆虫10種食べ比べセット』 ※撮影/編集部

 上段は左から順に、タガメ、バンブーワーム、蜂の子、バッタ、コガネムシ。中段左からジャイアントミールワーム、オケラ、コオロギ。下段左から水アブの幼虫、ツムギアリの卵。

 やはり見た目のインパクトあるが、いざ実食する蜂の子やツムギアリの卵はスイーツ感覚で味わえる。香ばしく、カリッとしているのはバッタやコガネムシ。人によっては「エビのよう」とも感じるだろう。オケラやコオロギはバッタなどに比べて体が大きくなるせいか、サクサクしたなかにも“身”を感じる。

 10種類の虫たちが並んだプレートに一瞬ひるんだが、不思議なもので、一つ口に入れてしまえばあとは“こんなもんか”という気持ちに。ちなみに店長の石井さんによれば、コオロギは「オーダーメイドで育てている」のだとか。虫は体が小さいため、虫が食べたものでその味もずいぶん変わってくるのだそうで、同店の昆虫食へのこだわりがうかがえる。

 ザ・幼虫といった風貌の水アブの幼虫やジャイアントミールワーム、バンブーワームのうち、水アブの幼虫はそれほどクセがないのに対し、名前通り大きなジャイアントミールワームはクセしかない。酸っぱみのある風味が強烈で、いつまでも舌に残る後味が何とも言えない。一方でバンブーワームはまるでポテトフライ。スナックのようで、ビールのつまみにいくらでも食べられそうな美味しさだった。

タガメの体内からは青りんごの香りがする ※撮影/編集部

 いよいよ最後はタガメの登場。タガメは小さなハサミを渡されるので、“解体”方法を書いた説明書通りに体を切り開き、中の黄色い身だけを食べる。これが不思議なことに、タガメの腹を切り開いた瞬間、ふわぁーっと青りんごの香りが広がるのだ。まさか、いかついタガメの中からこんな果実味のある芳香が漂うとは、そのギャップは一度味わうと病みつきになりそうだ。