■9種類の虫が調理された「MUSHIパフェ」実食

 様々な昆虫料理が並ぶ『米とサーカス渋谷PARCO店』。ここでしか食べられないのがMUSHIパフェだ。

5年ぶりにリニューアルされた『MUSHIパフェ』  撮影/編集部

 パフェの上部から順に、

・とろ〜り贅沢な巣蜜と、山椒パウダー
・サクサク焼きメレンゲで雲をイメージ
・コオロギ×チョコレートの自家製アイスクリーム
・カイガラムシで色付けしたサボテン
・ミールワームのカリカリクランブル
・ふんわり香る糞茶とピスタチオをサクサクのパイにのせて
・タガメとディルのぷるぷる水ゼリー
・マゴットチーズケーキ(※マゴット:ウジ虫のこと)
・オケラ入りの濃厚ブラウニー
・プチプチのアリ卵とハイビスカスのジュレ

 と10層からなるパフェには9種類もの虫と昆虫由来の食品を使用しているが、見た目は単なる豪華なチョコレートパフェだ。

「グラスの上から下まで、順に実際に生息しているエリアを再現しています。上から空中を飛翔する昆虫・地面から跳躍する昆虫・水中を泳ぐ昆虫・地中に生息する昆虫という構成です」

 と説明するのは『米とサーカス渋谷PARCO店』店長の石井さんだ。今回、“虫”の原型をとどめないようにリニューアルした理由については、「虫むし(編集部注:“人びと”のアクセントで)の特徴を活かしつつ、おいしく食べられるよう、レシピにこだわった」と話す。

「最初は“虫”を押し出すあまりに奇抜な方面に寄ってしまったので、今回はあくまでもそれぞれの虫は素材のひとつとして、真面目に料理に向き合いました。もともとウジがわいているチーズがあるのですが、それをヒントに、ウジを使ってマゴットチーズケーキは作成。一番下の層にはカイガラムシからとれる赤い色を利用。“映え”を意識しました」(店長の石井さん)

 結果、「昆虫の栄養価がぎゅっと詰まっているうえ、普通にめちゃくちゃ美味しい」最先端のパフェが完成。ブラウニーを食べていると時折カリッとした歯ごたえが混ざるなど虫の存在は感じられるが、それも最初に説明されていないとわからない。

 リニューアル後の反響はやはり大きく、「虫と関係なくスイーツ好き、パフェが好きだという方のご来店がかなり増えた」(石井さん)という。若い女性客も多く、客層拡大に昆虫パフェは大きく貢献しているようだ。

 個人的には最初はおっかなびっくりだった昆虫食の世界だが、一歩踏み出してみれば「自分にも食べられた!」という新鮮な喜びでいっぱい。そんな人をたくさん見てきたであろう石井さんは、「皆さん前向きになって帰って行かれます」とやさしく微笑んで見送ってくれたのだった。