■SNSのバズについて何を思う

 渡邊被告は獄中生活を発信するXがフォロワー30万人を超える反響を得ていることについて、どう感じているのだろうか。

「SNSがバズっていることについて、特に何も思っていないようです。彼女が望んでいるのは、現代アーティストの増田ぴろよさんによるZINE(自費出版誌)『月刊頂き女子』や、手記の発表を通して自分の思いを伝え、歌舞伎町やホスト業界を変えていくこと。渡邊さんは厳しい生い立ちの中で“ホストクラブに救われた”と話していて、獄中にありながらも歌舞伎町カルチャーに強い当事者意識を持っていると感じます」(前同)

 獄中日記が綴られたXの投稿は、来年頭に書籍化される予定だという。また、クリエイターが文章などを投稿できるプラットフォーム『note』で、9月23日より“自伝手記”が連載されるという。その売り上げについては、

「社会復帰支援として渡邊さんに還元され、そのお金は、優先的に被害者や未払税金の弁済へと充てられます」(同)

 月に一度の面会では、「私と渡邊さんの会話は支援活動のための事務連絡や情報交換が多く、事件まわりの話については弁護士が担っていた」という立花さん。

 だが、日々のXの投稿を見てきて、渡邊被告のある変化を感じたという。

「8月17日にアップした手記は、短文で《被害者の方へ 申し訳ございませんでした。》とだけ書かれたものでした。これまで被害者への謝罪を口にしたのを聞いたことがなかったので、印象的でした。この手記は一審が終わった直後に書かれたものでなので、被害者に許してほしいというわけでもなければ、刑期を軽くしたくて言ったわけでもない。彼女が内面と向き合った結果、出た言葉なのだと思います」

 判決は9月30日に下る。

立花奈央子(たちばな・なおこ)
千葉県出身。株式会社オパルス代表取締役。フォトグラファー、イベントプロデューサー、Salon de GIFTED 主宰。人物撮影を専門とし、その被写体層は経営者、アーティスト、アイドル、LGBT、夜職系など広く深い。