■「逮捕」が考えられるケースは

 店にしてみれば完全な“被害者”。“落としどころ”について、前出の勝間田弁護士が解説する。

「ネット上に書き込まれた投稿が本当に悪質で、それによってお店の関係者が亡くなってしまうなど社会的影響が大きい事情があれば警察が動き、投稿者を逮捕となるケースは考えられます。ただしその人が罰を受けても、名誉棄損罪のような犯罪の場合には、お店がそれでお金がもらえるなど実質的損害などを補填してもらえるわけではありません。

 一方で民事による当事者間の話し合いの場合、お店にとって納得のいく金額感ではなくても、いくばくかのお金を払ってもらえる可能性が高い。労力とかけるお金のバランスを考えつつ、相手が支払える程度で手打ちにすることが多いです」(勝間田弁護士)

 昨今、誹謗中傷や虚偽内容などといった悪意のある投稿がたびたび話題になるが、その数について勝間田弁護士は「明らかに増えている」と話す。

「スマホ、SNSが普及してから誹謗中傷が問題視されてきましたが、ここ5年ほどで増えるだけでなく、過激化している印象はあります。何が少しイヤなことがあった時、何の関係もない相手を貶めるウソを平気で書きこむ。“無敵の人”とでも言うのでしょうか……」(前同)

 誰かの参考になる口コミなら歓迎でも、全く事実と異なる虚偽の投稿は飲食店にとってはたまったたものではない。

勝間田淳
千葉県内の法律事務所に勤務後、多数の企業のインハウスの弁護士として活躍。法務面のみだけなく、事業の運営にも携わる。
その後、2020年9月にトラスト弁護士法人を開設。現在、「ステークホルダーとの信頼(Trust)関係の構築」をモットーに、金融・コンプライアンス・債権回収をメインに、都内で数多くの企業法務案件を手がけている。さまざまな媒体におけるインターネットトラブルへの対応も豊富。弁護士資格の他、司法書士資格、行政書士資格、公認不正検査士資格を有している。
トラスト弁護士法人公式HP(https://trust-law.jp/lawyer/)