■海外でも高評価、「日本のものづくり」が秘めるもの

東京国立博物館前での「恐竜大夜行」の練習風景 ※画像/株式会社ON-ART提供

 苦節17年。開発された恐竜型のメカニカルスーツは、機械と人力の組み合わせで動き回る仕組みだ。ナイトパレード企画では、ON-ART社が演出や音楽などすべてをプロデュースした。前出のON-ART社の代表取締役・金丸氏によれば、こだわりは「能」の形式を取ったことだという。

「東京国立博物館さんの中庭には、白亜紀後期という“恐竜時代”から形をほぼ変えずに残っている大きな百合の木があるんです。パレードでは夜な夜な百合の木の精が現れて、恐竜たちを現代に招聘するというストーリーになっています。恐竜という太古の生き物に出会える体験と、東京国立博物館さんの持つ人間の紡いできた素晴らしい文化・芸術をスパークさせた時の、新感覚の驚きを味わえると思います」(金丸氏)

 恐竜たちは、花道に見立てた上手(かみて)から登場し、薄暗がりの中で蘇る。音楽は和太鼓あり、ビートの効いたテクノあり。現在と過去がないまぜになった空間で、いつしか観客の目は“未来”に向けられてゆく。

「恐竜は、今ここに生きていることのすごさを教えてくれるメッセンジャーなんですよね。何かと厳しいことも多い世の中ですが、恐竜に想いを馳せることで、少し立ち止まって“生きる”ことの尊さに目を向けてもらえたら、という願いがあります」(前同)

 クウェート王立博物館のオープニングに招待されるなど、海外でも人気だという「DINO-A-LIVE」。日本のものづくりが高く評価されることについて、金丸氏は“魂”の存在を挙げる。

「日本人には古来より“ものに魂が宿る”という考え方があります。ものをつくる時にもそうした向き合い方があって、私たちも一体一体の恐竜に魂を吹き込みたいという想いで日々取り組んでいるのですが、魂を込めて作ったものは、言葉や国境を超えて伝わるものがあることを感じます」(同)

 そんな金丸氏のさらなる夢は「世界ツアー」だ。

「世界中の人たちに生き物のすごさ、素晴らしさを知っていただけるようなライブショーをあちこちで開催したい」と目を輝かせる金丸氏。

 恐竜たちが列をつくって、世界をパレードする第一歩となるかもしれない「恐竜大夜行」は大注目のイベントと言えそうだ――。

金丸賀也氏 ※画像/株式会社ON-ART提供

【『恐竜大夜行』開催概要】
会期:2024年9月27日(金) ・ 9月28日(土) 2days
会場:東京国立博物館 中庭(本館前)※野外での公演
開演・公演時間:開場19:30、上演20:15~21:15
公式サイト:https://www.dino-a-live.jp/daiyakou/jp/