家事代行、運転代行など、本人に代わって作業をする“代行”サービスは世の中に様々ある。そんな中で、数年前から注目を集めているのが学生による課題代行サービスだ。
サービスが始まった当初は、長期休暇中の小学生向けの宿題代行サービスなどに注目が集まったものだが、現在では大学生向けのレポート作成が商売の中心となっているそうだ。10月からは大学生も新学期を迎えるとあって、課題代行業者は現在、書き入れ時。どんな依頼をいくらで引き受けているのか。その実態を探った。
神奈川県で塾を開業し、自身も講師を務める男性(40代)が宿題代行サービスの“歴史”を振り返る。
「宿題代行は10数年前から注目されるようになったサービスで、テレビの情報番組でもしばしば取り上げられてきました。大学生がアルバイト感覚で請け負うことが多く、対応する学年や分量にもよりますが、読書感想文が大体原稿用紙1枚3000円、自由研究は数千円から数万円、デッサンになると2万円以上といったところが相場です。
一時は、メルカリなどのフリマサイトにできあがった宿題を出品するケースも続出。読書感想文や作文をはじめ、『自由研究レポート』『貯金箱工作』といった自由研究の完成品が数百円~数千円で出品されるようになりました」
もちろん、宿題は自力で取り組んでこそ意義があるものだ。こうした事態を受けて文部科学省は2018年8月にフリマ事業を展開するメルカリ、楽天、ヤフーの3社と役務代行や完成品の出品を禁止することで合意したと公表。宿題代行と思しき出品を発見した場合、速やかに商品を削除するとした。
ただし運営側が対応しても、代行サービス自体はなくならない。前出の塾を経営する男性は「むしろ、代行サービスの認知度が上がり、利用者は増えているのでは」と話す。
「中学受験をさせる親の中には、自由研究や感想文に取りかかっている余裕はないということで、代行サービスを利用する人もいると聞きます。大学生に至っては、もう受験がなく学力を身につける必要もないという開放感も手伝うのか、一層気軽に活用しているようです」(前同)