■トレンドは「ChatGPT使ってませんよね?」

 いくらお金を払って代行してもらうとはいえ、課題の評価が悪かったり、内容にミスがあったりすると依頼者は不満を抱きそうだが、トラブルになったことはないのか。

「同じ授業を受けている学生たちから、同じ課題が依頼されることがあるんですよね。それを気づかず、ほぼ同じ内容のレポートを異なる人に渡してしまい、教授から一瞬怪しまれたという報告を受けたことがありました。大事には至りませんでしたが、以来、細心の注意を払って“被らない”ようにしています」(前出の課題代行業者Hさん)

 最近のトレンドでいえば、「ChatGPTを使ったのではないかと確認されるケースが急増した」と話す。

「僕たちの場合は全部人力でやるのですが、ある時から急に“ChatGPTを使わないように”という事前の念押しや、納品後も“ChatGPT使ってませんか?”と再確認されることが増えました。大学側から、使うなという指示が出ているのでしょう。ただこちらが“使っていない”といくら言ってもなかなか信用してもらえなかったりして、面倒な時代になったなと思っています」(前同)

 そんなHさんも4年生。現在のサービスは事業譲渡をして後輩に引き継ぐ予定で、代行を通してさまざまな学生の生態に触れてきた今、何を思うのか。

「代行についての是非はあると思いますが、個人的には自分の専攻だけでは絶対に触れない学問に触れることができるのは面白いですよ。

 あと、請け負う時にこちらから大学名などの詳細情報はあえて聞かないんですけど、資料とかでどこの大学かは大体わかるんです。上智とか早稲田の学生もいて、僕より偏差値の高い人間が僕に課題を頼んでいるというパラドックスにちょっと笑っちゃいますね」(同)

 代行サービスを通してビジネスを学んだともいえるHさんは、学生の間に起業し、卒業後の道筋もバッチリ。代行してもらう側と代行する側、少なくとも代行する側に学びがあるのは事実なのかも。