■ハブとマムシ、脅威なのは

 ハブとマムシ、脅威なのはマムシ。

「ハブはマムシより体が大きいので、毒の量も多く、牙も断然長いです。毒を体のより奥深くに注入することができます。一方マムシは体が小さいですが、ハブの2倍ほどの毒の強さがあります。噛まれた場合、約5倍速く毒が体に回り死に至る可能性があります」

 X(旧ツイッター)ではマムシに足を咬まれた人が、その大きく腫れあがった傷口の写真を投稿し、あまりの痛々しさに大きな話題を呼んだ。

奄美大島で撮影されたハブ ※画像はphotoACより
奄美大島で撮影されたハブ ※画像はphotoACより

「どちらの毒も出血毒と言って、細胞膜を溶かし、腫れや傷口に火を当てられたような痛みを感じます。神経毒の成分も入っているので、吸困難やけいれんを引き起こす場合もありますね。噛まれて亡くなる方の大半は、この神経症状によるものです。万が一噛まれたときは、慌てて動き回ると、その分血流が早まり、毒が広がってしまうので、安静にすることが重要です」

 では、自然の中で毒蛇に遭遇しないためには、どういった心がけが必要なのだろうか。

「舗装された遊歩道の真ん中を歩くことですね。何かに興味をそそられて、無警戒に草むらに入っていくのは危険です。カエルを狙う蛇に遭遇する可能性が高いので、水場には近づかないほうがいいですね。森や草むらに入る際は、長そで長ズボンは最低でも用意し、足元は長靴や、くるぶしまである登山靴がおススメです」

 秋の行楽を楽しむ際には自然の美しさを楽しむのと、同時に身近に潜む危険にも注意を払おう。

パンク町田(ぱんくまちだ)
1968年、東京都生まれ。NPO法人生物行動進化研究センター理事長、動物研究家。近著に『パンク動物記 アフリカの最強動物』(ポプラ社)、『パンク町田の動物たちの嘘のような本当の話』(三笠書房)等がある。