■伊藤健太郎沼の発生は確実

 これまで登場したオリジナルキャラの中で、物語の前半に登場した散楽一座の座員・直秀(毎熊克哉/37)と、中盤で登場した宋の薬師・周明(松下洸平/37)が印象的で、どちらもサービス精神たっぷりに思わせぶりな恋模様が描かれ、多くの視聴者に直秀沼や周明沼を発生させていた。

 今度の伊藤演じる双寿丸は、公式サイトによると「賢子を盗人から救ったことで、その屋敷に出入りするようになり、まひろ(紫式部)とも知り合う」とある。年齢的に相手は成長した賢子(南沙良/22)だと思われるが、今回も視聴者が身悶えする少女漫画ばりの展開が期待でき、双寿丸沼が発生する可能性は高い。

 演じる伊藤は、NHK朝ドラ『スカーレット』でヒロインの息子などを演じて注目を集めるも、20年10月にひき逃げ事故を起こし、道路交通法違反などで逮捕(のちに不起訴)。伊藤が撮影現場で天狗になっていた、などと悪評も次々と報じられたことで、出演予定作品からの降板が続き、映画、ドラマから姿を消していた。

 しかし、21年10月以降、舞台や映画で少しづつ俳優としての仕事を重ね、今年4月期のSixTONES森本慎太郎(27)主演『街並み照らすヤツら』(日本テレビ系)で地上波連ドラに復活。今度はNHKの大河出演とあって、伊藤の気持ちの入った演技が見られるはずだ。

 新キャラが登場する一方で、道長(柄本)も次の東宮に自身の孫でもある敦成親王を擁立するという、野望の一端をのぞかせ始め、そちらもX上で《今まで白かった道長から黒い野心が芽生える。ここに来て父・道兼がかつて語った藤原一族の闇を思い出させる展開。結局、道長もそれから逃れられないのか》などと話題になった。

 年末の終盤に向け、大石静氏が本作の脚本を描くうえで謳っているテーマが加速しそうだ。平均世帯視聴率(ビデオリサーチ調べ/関東地区)も第37回が10.7%と、11%台復帰に向けてジワジワ上げている。今後の展開に期待したい。(ドラマライター・ヤマカワ)

■ドラマライター・ヤマカワ 編プロ勤務を経てフリーライターに。これまでウェブや娯楽誌に記事を多数、執筆しながら、NHKの朝ドラ『ちゅらさん』にハマり、ウェブで感想を書き始める。好きな俳優は中村ゆり、多部未華子、佐藤二朗、綾野剛。今までで一番、好きなドラマは朝ドラの『あまちゃん』。ドラマに関してはエンタメからシリアスなものまで幅広く愛している。その愛ゆえの苦言もしばしば。