「犬は人に付き、猫は家に付く」という言葉があるように、人間にはなつかなそうなイメージもある猫。だが、猫の飼い主さんたちからは、こんな声も……。
「うちの猫は普段は素っ気ないのに、私がトイレやお風呂に行くときは後ろについてきます。ときには、ドアのすき間から入ろうとしたり、私がトイレから出るまでドアの前で待っていたりするんです。ホント謎です」(30代・専業主婦)
そこで編集部内の猫好きにもヒアリングしてみたところ、
「基本トイレは覗かれますし、ベランダに行けば見張られます。ノートや、パソコン、テレビ台の上がお気に入りで邪魔してきますね」(20代・女性)
「なぜかPC台の下に毎度入りにくる。気づくとよく不思議な場所探検してる」(30代・女性)
「水が怖いくせになぜかお風呂の蓋の上で寝るのが好きです。一度だけ足を滑らせて湯舟に落下したことがありましたが、懲りずに居座ってます。最近はシャワーを扉にあてた時の水滴を追いかけるのが好きで、お風呂の時は100%入り待ち出待ちしてます」(40代・女性)
出るわ出るわ……さまざまな声が寄せられた。
いったいなぜなのだろう? この謎を解明すべく、我々は『おかの動物病院』(神奈川県横浜市)の副院長の河内由紀氏に話を聞いてみた。
「猫が、トイレとお風呂についてくるのは、“水”、“個室”、“飼い主さんの滞在時間”の3つがキーワードになります。まず、“猫は、水が嫌い”と思われがちですが、それは誤解で、正しくは、“猫は、水に濡れるのが嫌い”なんです。猫の毛は乾きづらく、一度、水に濡れてしまうと体温が下がり続けて、生命維持に関わります。だから、野生の猫は雨を避けるし、家猫の中には本能的にお風呂を避ける子がいます。その一方で、猫は、水自体には興味があり、特に、流れる水の音に敏感に反応する子がいます」(河内氏=以下同)
つまり、トイレや風呂などの水回りは、猫にとって魅力的な場所なのだ。
「そして、トイレやお風呂は、外からは様子が確認できない“個室”です。そんな場所に飼い主さんが長く滞在していたら、猫からすれば余計に気になってしまうわけです。水が流れている謎の空間で飼い主さんが何か楽しいことをしているんじゃないかと。それで、飼い主さんについていってしまう猫が多いのではないかと考えられます」