■レタッチがかえって不自然になってしまったワケ
前出のカメラマンが続ける。
「レタッチは本来その人をより美しく見せるもので、披露宴などでは当たり前の作業です。今回パッと見てレタッチをしたことがわかるのは、石破さんと中谷さんのお腹部分ですが、雑すぎる。パンツの股上部分をモーニングコートのボタン部分まで引き伸ばしているので、不自然なほどウエストが上にあるように見えてしまいます。
お腹だけでなく、モーニングでは本来着用しないベルト部分も同時に隠したかったからこういうことになったのでしょうけど、むしろ加工感が増しています。中に着ているであろうベストも合わせて上手に加工すればよかったのに。
また、レタッチするなら斜めからのカットも修正していいはずですが、そちらは放置。あくまでも正面写真のお腹部分だけにとどめたので、正面カットと斜めからのカットで見え方が異なる羽目になっています」
カメラマンは、「そもそも撮影自体の技術以上に、足りなかったのは“気遣い”部分」だと言う。
「集合写真を撮る時は、全員の顔と目線が揃うように声がけをしたり、顎を引いて、口を閉じてなど、細かくディレクションします。シャツが出ていたりネクタイが曲がっていたりすればその場でなおしてもらう。メガネのレンズについても、光らないようにする、目が閉じていないかなどを必ず確認するので、ロゴが入っていれば気が付かないはずはないんです。それが一生に一度の記念写真ならなおのこと、細かい注意を払います。
ただ今回初入閣が多いとはいえ政治家としてはベテラン揃い。スタッフ側に“政治家生活も長いんだから、当たり前に撮影時の所作も知っているだろう”という甘えがあったか、気づいていても注意しづらかったのかもしれませんが……」
ちなみに現場には報道カメラマンもいるが、前出の政治部出身記者は「報道はグラビアなどと違ってそのままを写すことが使命でもあり、声がけをすることは基本的にない。また、マスコミはむしろ変な写真を“おいしい”と思うかもしれない」と話す。つまりはオフィシャル側がキチンとしろということだが、ある永田町関係者は「悲惨な写真が世に出るまでに、3回気づくチャンスがあった」と言う。
「まず、秘書をはじめとした周囲の人間ですよね。身だしなみや服装のチェックができていない。石破さんはパンツをベルトで締め、さらに裾が余っていましたが、モーニングではパンツにベルトは使わずサスペンダーで吊るのが基本です。慌てて用意したとしてもサイズがダブダブで、あまりにお粗末です。
2回目の修正チャンスは、オフィシャルカメラマンです。服装などどうしようもないこともあったにせよ、現場で調整できることはあったはず。本人に言いにくかったら秘書に指示を出してもいい。そして3回目、最後のチャンスは広報でした。広報チェックで気がついていれば、公開した後に修正するなんていうダサいことをしなくていい」