乳酸菌飲料のトップメーカーであるヤクルトが“プラントベース市場”に本格参入することが10月に発表された。

 乳製品メーカーの同市場参入といえば、雪印メグミルクが2024年3月に新ブランド『Plant Label』を立ち上げ、えんどう豆たんぱくを使用した商品を投入したばかり。

「動物由来ではなく植物由来の原材料を使用したブラントベース食品は、健康志向だけでなく、将来的なたんぱく質不足が予測されている“たんぱく質危機”の問題や、畜産のもたらす環境負荷など、SDGs的な観点からも需要が高まっている。TPCマーケティングリサーチの調査によれば、世界のプラントベース食品の市場は22年に初めて3兆円を突破し、15年の約1.5兆円から倍増 。国内での市場成長も期待されており、20年頃から外食チェーンやコンビニ各社なども続々と“プラントベース”を謳う商品を投入し始めています」(全国紙経済部記者)

 名古屋発祥の喫茶チェーン『コメダ珈琲店』は20年、東京・東銀座にプラントベース100%の材料をメニューにした新業態『KOMEDA is □(コメダイズ)』をオープン。ハンバーガー業界2位の『モスバーガー』も同年、野菜と穀物を主原料とした『グリーンバーガー』の発売を開始した。

「博多発祥の人気ラーメンチェーン『一風堂』も21年からプラントベースラーメンを一部店舗に投入しているが、24年10月16日からは、数量限定の企画ではあるものの、初めて全店でプラントベース商品を展開します。スープには、4種のきのこペーストにアーモンドミルク、オーツミルク、豆乳ベースの出汁をブレンド。そこに昆布やポルチーニなどからとったかえしと、香味オイルを加えて仕上げているそうです」(前同)

 24年は、ミシュランシェフが開発した100%植物由来のアイス『エクリプスコ』が日本に進出。都内の一部ファミリーマートで先行販売されている。

「ファミリーマートはSDGs関連の『ブルーグリーンプロジェクト』の一環で、23年末からスイーツなどのプラントベース商品を販売しており、24年7月にも第3弾を展開 。セブン‐イレブンもSDGsなブランド『みらいデリ』を立ち上げ、23年7月から プラントベースのプロテインを使った商品を投入。ナチュラルローソンは東京都・神奈川県・千葉県・埼玉県の店舗にて、プラントベース商品を24年4月から販売しています 」(同)

 コンビニ各社も一斉に動き出し、にわかに身近なものとなりつつあるプラントベース食品。しかしそもそも、その味わい、栄養価はどんなものだろうか。そんな素朴な疑問を、数多くのテレビ番組でも活躍してきた管理栄養士の森崎友紀さんにぶつけてみた。

「お気に入りのカフェがプラントベースのお店なんですが、材料にこだわってるんですよね。普通のカフェメニューだと、使う材料はすごくシンプルになりやすいですが、プラントベースだとバターひとつ取っても植物性のものにするわけで、こだわる必要がある。またプラントベースの定義は“主原料が植物由来”。ヴィーガン食ほど厳格ではないぶん、味にもさらにこだわることができるので、美味しいものが多いと思いますよ」(森崎さん)