■公になっていない『ゼンケツ』視聴率は――

 藤原と広瀬がメインの連ドラ『ゼンケツ』は、今回「きつねダンス」が話題になったように、まだ始まったばかりながら人気を得ているドラマである。10月9日に放送された第1話の無料見逃し配信は、放送後1週間を待たず200万以上の再生を記録(TVer・FOD合計値)したことも発表されている。

 そんな話題の『ゼンケツ』だが、視聴率を巡って、ある異変が起きているという。

「通常、GP帯の連ドラは放送翌日に視聴率が新聞などで報じられるものですが、『ゼンケツ』は視聴率が公になっていないんですよね。

 あまりにドラマの視聴率が低すぎると公表しないケースもありますが、『ゼンケツ』の第1話は、直前7月クールに同枠で放送されていた『新宿野戦病院』――小池栄子さん(43)、仲野太賀さん(31)のダブル主演で宮藤官九郎氏(54)が脚本を担当していた作品と世帯視聴率で大きな差はなかったんですが……」(制作会社関係者)

 10月9日の『ゼンケツ』第1話の世帯視聴率は6.5%(関東地区/ビデオリサーチ調べ)。対する『新宿野戦病院』の平均世帯視聴率は6.4%だった。

 そして、『ゼンケツ』第1話の個人視聴率は3.5%、テレビ界が最重要視していると言われる13~49歳のコア視聴率は1.8%で、『新宿野戦病院』から極端に落ちたわけではない。

 なぜ、視聴率が公表されていないのか――前出の制作会社関係者は言う。

「おそらく、『FOD』で行なわれている“先行配信サービス”が影響しているのではないでしょうか。

 現在、フジテレビの配信サービス『FOD』では、『水10』、現在『ゼンケツ』が放送されているの枠のドラマを、有料会員には1週間先のエピソードを先行配信する、というサービスを導入しているんですよね」

 見逃し配信が普及したことで、熱心なドラマファンほど、リアルタイムではなく自分の好きな時間、集中して楽しめる時間にTVerなどでドラマを観るようになった。さらに、テレビ離れが進む若年層もリアルタイムでテレビ番組を視聴しなくなっている。

 そのため、リアルタイムの視聴率、とりわけCMスポンサー企業が重視するコア視聴率は伸びず、民放各局では、視聴率だけでなく、TVerや自局の配信サービスに誘導することが重要になってきているというのだ。

「フジテレビの『FOD』の場合、『ゼンケツ』の放送枠で行なわれている“1週先のエピソードの先行配信”によって、ドラマの続きを早く見たい視聴者を同サービスに誘導し、会員数を増やしているということですよね。

 ただ、このやり方はリアルタイムの視聴率に影響を与える諸刃の剣でもあるでしょうし、結果として“視聴率が良くないドラマ”という印象を与える可能性もある。ですので、視聴率を積極的には出さない方針になっているのかもしれませんね」(前同)

 視聴率から配信重視に――テレビドラマの戦略は、変わりつつあるようだ――。