■『おむすび』が異例なワケ
これには、10月9日に開催された、NHKの経営計画修正案についてのメディア説明会で、スマートフォンやパソコンもテレビと同様に番組を視聴可能な機器として扱い、インターネット受信料を徴収すると発表されたことも関係ありそうだ。NHKは今後、配信に力を入れていくことは明らか。地上波の視聴率は、さほど気にしてはいないのだろう。
また、気にしていないと思わせる理由はほかにもある。それは、『おむすび』が実験作だからだ。ギャルがテーマというのも思い切っているが、それ以外にもドラマ内での遊びが多すぎる、というのがある。今までも『虎に翼』の寅子の劇中劇などの遊びはあったが、それはあくまでスパイス。本作での遊びはもはや本筋を超えるほどのレベルなのだ。
たとえば、初回冒頭、海に飛び込んだ結の「うちは朝ドラヒロインか?」というメタ的セリフ。たびたび見られる、懐かしいダイエーホークス時代の試合中継映像の、福岡県民を喜ばせたいとしか思えないホークス推し。第12回の聖人(北村)と永吉(松平健/70)の回想シーンの、コントにしか見えない2人の若作りコスプレ。
さらに、第13回の野菜染めのシーンは、「おばあちゃんの野菜染め」と題し、作業の手順のテロップを入れつつ、祖母・佳代によって分かりやすく伝えられたため、X(旧ツイッター)上では、《唐突に始まる野菜染め教室から発せられる強烈なEテレ感。おばあちゃんは「きょうの料理ビギナーズ」のはつ江さんみたいで良い》などと、大きな反響があった。