■原作者も称賛するドラマ『放課後カルテ』
また、原作ファンからも、《原作とはストーリー構成もセリフや行動もかなり違うのに世界観はほんとにブレがなくて、原作へのリスペクトあってこそだと思う》などと好評。原作者の日生氏も《とても大事な回でした。漫画の別々のエピソードを構成しなおしてこんなふうに!ありがとうございます!》とコメントしている。
実は、牧野の設定は変更されているようで、原作では啓の嘘エピソードは、牧野に弟の主治医に戻ってほしいからにすぎなかった。だが、牧野が以前勤めていた大学病院の小児科の医局長・高崎(田辺誠一/55)や、小児科医・咲間(吉沢悠/46)らの反応を見るかぎり、ドラマではただの嘘では終わらなさそうだ。
これは、ドラマを盛り上げるための設定変更だろう。番組改編説明会でプロデューサー・岩崎氏が物語を描くに当たって、原作者と実際に会って打ち合わせをし、世界観の醸成を行なってきたと発言。それもあってか、原作者の日生氏が番組公式サイトで「一視聴者としてとても楽しみです! 漫画ではなかったオリジナル展開も描かれる予定です」とコメントしている。
日本テレビは7月22日、ドラマ制作における指針として「原作者・脚本家をはじめとするクリエイター、キャスト、スタッフ等、ドラマに携わるすべての関係者を尊重」すると発表。『セクシー田中さん』のドラマ化による原作者・芦原氏の急逝という悲劇を繰り返さないためにも、本作は誠実に作られたようだ。
そんな誠実さが、作品全体からも感じられる『放課後カルテ』。制作スタッフ、俳優、そして、子役たちによって、漫画原作とドラマの幸せな関係が見られそうだ。(ドラマライター・ヤマカワ)
■ドラマライター・ヤマカワ 編プロ勤務を経てフリーライターに。これまでウェブや娯楽誌に記事を多数、執筆しながら、NHKの朝ドラ『ちゅらさん』にハマり、ウェブで感想を書き始める。好きな俳優は中村ゆり、多部未華子、佐藤二朗、綾野剛。今までで一番、好きなドラマは朝ドラの『あまちゃん』。ドラマに関してはエンタメからシリアスなものまで幅広く愛している。その愛ゆえの苦言もしばしば。