■犬用スナック 誕生の背景とこだわりは
同社によれば、これまでにも犬用のケーキやおせちなどといった“イベントフード”は登場していたが、食事でもイベントごとでもなく、日常の“ひと息”を愛犬と共有したいというニーズが強くなっているのだという。「グラン・デリ」ブランドマネージャーの桑原さんが、コロナ禍を経た生活と意識の変化を指摘する。
「リモートワークが取り入れられるようになり、在宅で過ごす時間が増えたことで、ワンちゃんとの距離がより近くなったという方は多くなっています。そうしたとき、若い飼い主さまを中心に、自分が食べているものをワンちゃんにも楽しんでほしいという意識が高まりました」(桑原さん)
ただ、人間用のおやつをそのままあげるわけにはいかない。そこで擬似的に同じものを共有できたらという発想のもと、同社はこれまでにも森永とのコラボで「ワンちゃん専用おっとっと」や「ワンちゃん専用マリービスケット」も手がけてきた。第3弾として「サッポロポテト」に白羽の矢が立った。飼い主から数多く寄せられたリクエストを受けた形だ。こだわりは、やはり同商品らしい「見た目」と「食感」である。
前出の淺野さんが、その工夫点を振り返る。
「“同じもの”を共有しているという気分を味わっていただくため、ワンちゃん用に調整はしつつも人間用と同じような見た目にこだわっています。食感も人間用と同じようなサクサク感を大事にしました」(淺野さん)
とはいえ、前述の通り犬用は人間用とは配合物が異なる。そのため成形には試行錯誤を要したという。
「ワンちゃん専用の配合にしながらも形や食感を再現する点に苦労しました。さらに大きさもワンちゃんが食べやすいようにしなくてはいけません。かなり難易度は高かったのですが、カルビーさんと弊社それぞれの技術や強みをしっかり生かした商品にできたと思います」(前出の桑原さん)
商品化にあたっては、実際に犬を飼っている飼い主たちに協力してもらい、愛犬がおいしく食べているかどうか、食べやすいかどうかをチェックした。
発売から1ヶ月半が経過し、売れ行きは「非常に好調」だというワンちゃん用サッポロポテトだが、あくまでもサッポロポテトは「おやつ」。食べ過ぎると人間同様“肥満”につながるため、1日の推奨量を守ることが大切だ。