■気になる四天王の味は
まずは、京都ラーメンを最初に世に知らしめた、鶏白湯系の『天下一品』だ。
「“こってり”を生み出した屋台発祥の『ますたに』に影響を受けたラーメン店。総本店が一乗寺の学生街にあり、発信力が強い学生たちが通ったことで人気が広がったようです」
また、全国展開を見据えたスープの作り方にも秘訣がある。
「工場一括でスープを作り、各店舗に送る。全国どこでも同じ味が再現できるようにしました」
はんつ遠藤氏のオススメは、唐揚げとのセット。濃厚なスープとボリュームある唐揚げが空腹にガツンと響くメニューだ。
続く『来来亭』は、現在の本社は滋賀県野洲市だが、もとは京都市伏見区が発祥のチェーン。味は前述の『ますたに』を、販売戦略は『天下一品』を継承した、とも言われている。
「徹底したスタッフ教育が魅力的な来来亭ですが、味の濃さや麺の硬さをオーダーできるのが売り。
僕のオススメは麺“やわらかめ”。小麦の滑らかさや、麺のしなやかさを感じることができます」
一方、『魁力屋』は黒じょうゆラーメンの代表的存在。
「ネギのトッピングがオススメ。甘じょっぱいスープによく合います。
京都ではチャーハンを“炒めし”と呼びますが、いっしょにぜひ食べてほしいですね」
最後は『ラーメン横綱』。1972年に屋台ラーメンとして始まった同店は、京都では少数派の豚骨しょうゆ系。
「背脂や鶏白湯がメジャーとなった他の京都ラーメンに対抗し、豚骨で始めたそうです。定番のラーメンに、入れ放題の青ネギと、ニンニクと唐辛子でできた自家製調味料を入れると最高です。自分で生卵を鉄板に入れて調理できる『鉄板チャーハン』も必食ですよ」
まさに多様性を地で行く京都ラーメン。お気に入りの一杯を見つけたい。
はんつ遠藤(はんつ・えんどう)
東京都葛飾区出身。ラーメン店からデパ地下まで、取材軒数1万軒を超えるフードジャーナリスト。著書多数。現在、週刊大衆で『極うま麺』連載中。