■プロが薦めるアレンジ食材は?
食材選びも、人それぞれ好みが出るが、おススメがあるという。
「もちろん、自分の好みに合わせることが美味しい卵かけご飯の前提ですが、ごはんは粒しっかりめで粘り少なめ、味濃いめがおススメ。お寿司のシャリに選ばれているようなつや姫やササニシキ系がおススメです。醤油は薄口醤油がいいですね。すこし甘さがあると、卵とお米をつないでくれます。
卵は雑味の少ない植物性の餌で飼育した、一個40円くらいのヨード卵などの卵が、基準になりますね」
シンプルな卵かけご飯だけに調味料を少し加えるだけで、その魅力も様変わりする。
「ワサビや黒胡椒を足すのがおススメです。ワサビは爽快なキレがあるので、卵かけご飯を食べているときの口の中のまったり感を切ってくれます。黒胡椒は、卵の味の輪郭を際立たせるキレが出ますよ」
さらに上野氏は、食材をちょい足しする絶品レシピも教えてくれた。
「いくらを足すと、卵かけごはんと掛け算が起こります。どっちのいいところも高めあっていますね。そこにワサビとのりをまくのがおススメです。あと、複数の食材になりますが、しらすと梅干と万能ねぎを乗せた卵かけご飯、これはまさに究極ですね。これ食べておいしくないという人はいないだろうという組み合わせです」
卵かけご飯の世界が、これほどまでに奥深いとは――。今後の展望を上野氏に聞くと、さらに驚きの言葉が。それが『フレーバー卵』だという。
「卵は、表面に1万7千個ほどの穴が開いていて、そこから匂いがつけられるんです。例えば、コーヒー豆と一緒に密閉するとコーヒーの風味が付きます。ゆずやレモン風味の卵は、これから世の中に流通するはず。今後は、自分でアレンジするマイフレーバー卵、なんてものが流行るかもしれませんね」
皆様もオリジナルの作り方を研究してみては?
上野貴史(うえの・たかふみ)
調理技能士、給食用特殊専門調理師、食育指導員、食育コンサルタント、馬肉マイスター、五ツ星タマリエ、 イタリアン・フレンチを経て、女子栄養大学の学生食堂で12年勤務した過去を持つ。現在は一般社団法人日本たまごかけごはん研究所の代表理事の他、プロの料理人・プロデューサー・講師として幅広く活動中。