■TVer配信に強いドラマ構成

 それは、自閉スペクトラム症という設定や、子どもとのなれない共同生活など、ヒューマンドラマのカラーが強いかと思いきや、母子行方不明事件と消息不明の異母姉・愛生にスポットが当てられ、ミステリー要素を強くなってきたため、その上手いバランスのとりかたを称賛する声だ。

 もともと、謎を追いかけていくミステリーものは、配信で強い傾向にある。ちょっとした伏線やヒントになりそうなセリフを二度見して、確認できるからだ。

 今のところ秋ドラマは、TVerのお気に入り登録数で、本作と『わたしの宝物』(フジテレビ系)と『放課後カルテ』(日本テレビ系)の三強状態。『わたしの宝物』はミステリー要素が入っているが『放課後カルテ』にはなく、今後は本作と『わたしの宝物』が配信で伸びていく可能性が高いだろう。

 視聴者の考察もX上で、《祥吾が悲劇の夫で終わるとは思えないので、祥吾がライオンを虐待→愛生はライオンを連れて逃げ心中したと偽装→愛生は身を隠しているので、Xに託しているってことなのかな》《美央は岡山天音さん演じるXの指示で祥吾を調査? 祥吾の会社はきな臭い感じしかしない》などと盛り上がっている。

 次回は、洸人と美路人がライオンが最近誕生日を迎えていたことを知り、ライオンのために内緒で誕生日会を企画する一方、記者・楓が母子行方不明事件の新事実にたどり着くようだ。ほっこりとミステリーのバランスが絶妙で、1話で2度おいしい『ライオンの隠れ家』に今後も注目したい。(ドラマライター・ヤマカワ)

■ドラマライター・ヤマカワ 編プロ勤務を経てフリーライターに。これまでウェブや娯楽誌に記事を多数、執筆しながら、NHKの朝ドラ『ちゅらさん』にハマり、ウェブで感想を書き始める。好きな俳優は中村ゆり、多部未華子、佐藤二朗、綾野剛。今までで一番、好きなドラマは朝ドラの『あまちゃん』。ドラマに関してはエンタメからシリアスなものまで幅広く愛している。その愛ゆえの苦言もしばしば。