■深みの感じられないジェシーの演技

 GP帯の連続ドラ初主演となる趣里、橋部敦子氏によるオリジナル脚本は文句なしと言ったところ。ところが、《杉浦のキャラが弱い…これだけ脚本が強かったら、普通なら絶対に人気が出るキャラなのに、ジェシーの演技が棒読み過ぎる…そこだけ残念過ぎる》などの声があるように、どうにも物足りないのがジェシーだ。

 ポンコツキャラがいいという声もあるが、おそらく熱心なジェシーのファンだろう。東大出身だけどポンコツという、コミカルな感じを狙っているのだろうが知的さが感じられず、能力がなくて困っているだけの人に見えてしまう。今のところはポンコツでもいいだろうが、今後、趣里のバディとして活躍する回もあるだろうと考えると、不安になってくる。

 また、神波を支えるはずのパラリーガル夫婦の存在感がなく、いないも同然なのも気になる。最近のリーガルドラマは、今年4月期の日曜劇場『アンチヒーロー』(TBS系)など、パラリーガルにスポットを当てる作品が増え、物語に大きく関わっているのに、本作の2人は、ふわっと法律事務所にいるだけだ。

 さらに、所長・大草(YOU/60)も存在感がなく、亮子のひとり舞台状態で話が進むことに。サブキャラが動くことによって、メインキャラがより輝けるのだが、今のままでは趣里だけに「おんぶにだっこ」状態。配信サービス・TVerのお気に入り登録数の伸びが今ひとつなのは、ジェシー、そしてチーム感のなさに原因がありそうだ。このままではこの先も苦戦が予想される。

 とはいえ、物語はまだ序盤の第3話。第4話では大学のサッカー部の体罰が訴えられ、そのコーチが杉浦の高校の同級生という設定なので、ジェシーの演技パートが増えそうだ。法律事務所のメンバーが、チームとしてうまく動き出すことに期待したい。(ドラマライター・ヤマカワ)

■ドラマライター・ヤマカワ 編プロ勤務を経てフリーライターに。これまでウェブや娯楽誌に記事を多数、執筆しながら、NHKの朝ドラ『ちゅらさん』にハマり、ウェブで感想を書き始める。好きな俳優は中村ゆり、多部未華子、佐藤二朗、綾野剛。今までで一番、好きなドラマは朝ドラの『あまちゃん』。ドラマに関してはエンタメからシリアスなものまで幅広く愛している。その愛ゆえの苦言もしばしば。