King & Prince岸優太(27)主演の『すきすきワンワン!』(日本テレビ系)は、無職で無気力に生きている青年が、幼少の頃に飼っていた犬の生まれ変わりだという青年に“再会”し、愛し愛されることで成長していくファンタジーなストーリーだ。

 第6話は、炬太郎(岸優太)が、高校生だったときに3ヶ月間だけ預かっていた猫の生まれ変わり・エリー(松本まりか/38)が会いにきた。翻弄される炬太郎と天(浮所飛貴/20)だったが、エリーは気にする様子は一切なく「私の会社で働かない?」と炬太郎を誘う。

■元ネコに翻弄される元イヌと飼い主という特殊な世界観

 ある日、穏やかな時間を過ごす炬太郎と天の前に、いきなり見知らぬ女性・エリーが現れる。昔のことをなつかしそうに話すエリーは、炬太郎が高校生だったときに3か月だけ預かっていたセレブ猫、エリザベスの生まれ変わりだった。

 エリザベスは、タワマン住みの港区女子(という猫)で、ツンデレだったこともあり、炬太郎になつくことはなかったという。エリーは、話すのがゆっくりで、上目づかいをしたり、片足をくねらせたりと、猫らしい仕草をする。隣で見ていた天は、エリーを警戒して嫉妬で吠えまくるのだが、さすが犬といった反応だ。おっとりしたエリーと、キャンキャン吠える天の対比がおもしろい。

 2人の間でずっと謎の顔をしていた炬太郎だったが、エリーがエリザベスだと判明してからは急にあたふたしてしまう。エリザベスは飼い猫だったけれど、立場はずっと炬太郎のほうが下の感覚だったのだろう。言葉尻を責められ、取りつくろうのに四苦八苦する炬太郎が最高に面白い。

 第5話でも、天に愛情を抱いている自分に困惑して葛藤していたのが見事だったが、岸は相反する感情を表現するのが実にうまい。シリアスなのにコミカルなのは、岸の芝居が生きているからだ。

 そして丁寧に演じているのがよく分かるのが、エリーの会社で社長の前に座って会話をするシーンだ。細かいところなのだが、自分が書いた大学時代の卒論を社長に褒められたとき、小さく喜ぶ芝居がとてもよかった。せりふの後に、じわじわとうれしい気持ちが沸き上がってきて少しだけ目を閉じる、このわずかな目を閉じるような仕草に、褒められたことが意外だったことが込められている。

 次のシーンでは、社長に褒められたことが意外だったとエリーに言葉で伝えるのだが、次に繋がる感情を小さな表情でひとつ入れて表現したことになる。こういう気の利いた小さな芝居に、引きつけられるのだ。