■松下洸平+子どもの破壊力

 配信サービス・TVerのお気に入り登録数が89.3万で、第4話への“いいね”が2.5万(11月8日10時現在)と好調な本作。その人気の理由はまず、オーディションを経て選ばれた子役たちの熱演にあるようだ。また、彼らを支える立場の松下演じる牧野も、《傷ついた子どもが何をされたら嫌なのかをきちっと理解してる》などと好評だ。

 これまで、子どもたちが抱える体と心の問題をメインに描かれていたが、今後は牧野の成長も描いていく流れになりそうだ。第5話のあらすじによると、牧野が小学校に赴任してくる数か月前、大学病院で働いていた時のエピソードが描かれる。これによって、本来は医師の牧野が、学校に来ることになった理由が少しずつ分かってきそうだ。

 毎回、出演ドラマで沼を発生させてきた松下。本作では、ぶっきらぼうなキャラとシリアスな展開で、沼は小さめだった。しかし、牧野が自身の過去と向き合うことで、これまでの周囲と一線を引いたような姿勢が変化すれば、子どもたちと触れ合うシーンが増えてくるだろう。

 ただでさえ癒し系のイメージが強かった松下に、子どもの笑顔や涙が絡んでくれば、沼が急拡大するのは確実。ドラマ自体もシリアスな展開に加え、ハートウォーミングな雰囲気が出てくることで、視聴者の支持もさらに拡大するはずだ。

 秋ドラマは、今のところTVerのお気に入り登録数では、100万超えの『わたしの宝物』(フジテレビ系)が断トツのトップで、『ライオンの隠れ家』(TBS系)が90万台で続いて2位。それを追う状態の『放課後カルテ』となっている。今後の牧野の変化次第では、『ライオンの隠れ家』との逆転もあるかもしれない。(ドラマライター・ヤマカワ)

■ドラマライター・ヤマカワ 編プロ勤務を経てフリーライターに。これまでウェブや娯楽誌に記事を多数、執筆しながら、NHKの朝ドラ『ちゅらさん』にハマり、ウェブで感想を書き始める。好きな俳優は中村ゆり、多部未華子、佐藤二朗、綾野剛。今までで一番、好きなドラマは朝ドラの『あまちゃん』。ドラマに関してはエンタメからシリアスなものまで幅広く愛している。その愛ゆえの苦言もしばしば。