■ここからが『海に眠るダイヤモンド』の本番

 まずは初回の放送開始早々、選挙特番で休みに。一週明けてようやく放送された第2話だったが、それも日本シリーズの延長で放送時間が30分遅れてしまった。第1話と第2話の完成度の高さから、スタートダッシュは間違いなかったはずだが、視聴者をつかみきれなかった。TVerのお気に入り登録数の増加の出遅れ、第2話の視聴率ダウンはこれらが原因だろう。

 ただ、TVerのお気に入り登録数は、第2話の放送後に急増している。X上の《謎が深まるばかりだ。それぞれの抱えているものをちょっとずつ見せながら、ストーリーを進めていくの、本当にうまい》という指摘のように、登場人物の背景を明かしながら物語を進めていく手法は、圧倒的なドライブ感がある。地上波ドラマではなかなか見られない完成度の高さで、視聴率もすぐに上向くはずだ。

 さらに、現代編の謎の老婦人・いづみ(宮本)の正体をめぐっても、視聴者の考察が出始めてきた。第1話ではリナ(池田)、第2話では百合子(土屋)であることを匂わせたが、いずみの正体の謎は、今後もしばらく引っ張りそうで、考察が盛り上がれば、気になるシーンを見直せる配信での数字に追い風になる。

 不幸の連続で出遅れてしまった本作だが、次回は端島を舞台にした映画が制作されることになり、オーディションを受ける朝子(杉咲)にスポットが当てられるようだ。第3話以降、一気に巻き返すことは間違いないだろう。(ドラマライター・ヤマカワ)

■ドラマライター・ヤマカワ 編プロ勤務を経てフリーライターに。これまでウェブや娯楽誌に記事を多数、執筆しながら、NHKの朝ドラ『ちゅらさん』にハマり、ウェブで感想を書き始める。好きな俳優は中村ゆり、多部未華子、佐藤二朗、綾野剛。今までで一番、好きなドラマは朝ドラの『あまちゃん』。ドラマに関してはエンタメからシリアスなものまで幅広く愛している。その愛ゆえの苦言もしばしば。