■玉森裕太の肌見せでは足りなかったか

 クズキュンラブコメをうたう本作だが、ここまでの展開でキュンはかなり少なめだ。ほこ美がボクシングにハマっていく一方、玉森は、ボクシングで対戦した大地が、試合後に亡くなったことを悔いる思いが堂々巡りして、なかなか2人の関係が進展しなかった。恋愛要素を期待していた視聴者は、これでは物足りなかっただろう。

 また、ほこ美の友だち・新田撫(玉井詩織/29)と、海里の同居人・相澤悟には裏がありそうで、相澤についてはX上で、《悟は大地さんの弟で、ご両親を亡くして、それぞれ別の里親さんに引き取られた? 海里に恨みを持つのは、兄を死なせたのに加えて、大地さんが海里を弟のように可愛がっていたからかも》などと、海里と兄弟説を考察する声も。

 本作のように、恋愛にミステリアスな要素を加えるのは、同枠で今年4月期放送の『くるり〜誰が私と恋をした?〜』でもやっていた手法。ただ、新田は第4話で、ほこ美に嫉妬していると分かってきたが、相澤は中盤に来ても正体と狙いがなかなか見えず、モヤモヤしたまま。ミステリーも中途半端で、これも頭打ちの原因のひとつだろう。

 序盤は玉森のシャワーなど、肌見せシーンの大盤振る舞い。これは、ほこ美との恋愛展開でのキュン不足を、補填する意図があったかもしれない。ただ、その効力も中盤まできたらパターン化して、数字が落ちるのも仕方なしだ。

 新章スタートとなる次回は、ほこ美にスパーリングの話が舞い込み、海里はほこ美の告白への返事は曖昧だが、ある決意を胸に、これまで遊んできた女性たちに向き合うという。また、海里はカメラマンとしての覚悟を決めることになるようで、前に進むことを決めた海里との、後半でのクズキュン増量に期待したい。(ドラマライター・ヤマカワ)

■ドラマライター・ヤマカワ 編プロ勤務を経てフリーライターに。これまでウェブや娯楽誌に記事を多数、執筆しながら、NHKの朝ドラ『ちゅらさん』にハマり、ウェブで感想を書き始める。好きな俳優は中村ゆり、多部未華子、佐藤二朗、綾野剛。今までで一番、好きなドラマは朝ドラの『あまちゃん』。ドラマに関してはエンタメからシリアスなものまで幅広く愛している。その愛ゆえの苦言もしばしば。