■ジェシーはお笑い担当の割り切り

 視聴者の指摘の通り、今回のジェシーが腹痛を訴える演技、すました顔をして入院するくだりは、ほぼコントに見えてしまった。何をするにしても表面的で、感情が見えてこないのだ。しかし、これはあえての演出プランである可能性が高い。

 本作は初回からほぼ趣里の独壇場で、ジェシーやほかの法律事務所の人物たちはドラマの本筋に絡んでこず、傍観者のようで存在感が薄かった。その代わりにゲストが毎回、萩原利久(25)、なえなの(23)、佐津川愛美(36)、秋元才加と、演技力の確かな俳優や話題のインフルエンサーで、彼らと趣里とのやりとりで話が進む形式になっていた。

 この、趣里とゲストが繰り広げる本筋に集中させるため、ジェシーはあえてお笑い担当として絡ませないのではないか。ジェシーだけでなく、法律事務所の所長・大草(YOU/60)やパラリーガルの夫婦がいてもいなくてもいい存在なのは、趣里と本筋を浮き立たせる演出のためと考えると、すごく腑に落ちる。棒読みでオーケー、むしろ大歓迎なのだ。

 次回は今回の続きで、12年ぶりに再会した亮子と粒来が、原告と被告それぞれの代理人として法廷で争うことに。趣里、古田新太、秋元才加のバチバチの演技合戦が見られそうだ。それを邪魔せず、緊迫したドラマの箸休めとなるよう、ジェシーは棒読みコント演技を続けるべきなのである。(ドラマライター・ヤマカワ)

■ドラマライター・ヤマカワ 編プロ勤務を経てフリーライターに。これまでウェブや娯楽誌に記事を多数、執筆しながら、NHKの朝ドラ『ちゅらさん』にハマり、ウェブで感想を書き始める。好きな俳優は中村ゆり、多部未華子、佐藤二朗、綾野剛。今までで一番、好きなドラマは朝ドラの『あまちゃん』。ドラマに関してはエンタメからシリアスなものまで幅広く愛している。その愛ゆえの苦言もしばしば。